06/03/26 インボイスに関する令和6年度税制改正


昨晩消費税の第一人者である同業者(税理士)の方の
話を聞く機会を得ました
その中で再認識したのは、財務省から「税制改正の大
綱」が発表された昨年12月22日に国税庁HPに出た「令
和6年度税制改正の大綱について(インボイス関連)」の
内容でした
具体的にはいわゆる自販機特例、回収特例の際の帳
簿記載について、住所等の記載を求めず、この点は5
年10月遡及するというものです
上記見直し前の国税庁の帳簿記載例を見ると、例えば
自販機特例の摘要として「港区 自販機 飲料」とされて
いました
しかし上記記載の「港区」に意味がないことは考えるま
でもありません
法律等は十分に理解した上で、お客様の事務処理に
どこまでの内容を求めるか、専門家として不断の研鑽を
怠ることはできないと痛感しました








06/02/29 申告書控等への収受日付印押捺省略(続)


去る1月25日の欄に書きましたが、ある意味税務行政の
大転換とも言えるのが掲題の件です
私がこの業界に足を踏み入れた平成の初め以来、申告
書等を郵送提出する場合は、正と控と返信用封筒を送り
収受日付印が押された控を返送してもらうことにより申告
が完了していることを確認してきました
しかし来年からはその収受日付印が押されなくなるという
決定が、私の知る限り業界内での大きな議論等がないま
まされていました
そうしたところ、「税理士界」(第1433号、令和6年2月15日)
の12面に関連記事がありました
そこに国税庁の意見に対する回答が記載されています
例えば、「納税者は、収受印がないと提出したことを主張
できない」に対して、「当分の間の対応として、窓口で交付
するリーフレットに、申告書等を収受した日付や税務署名
を記載した上で、希望者にお渡しすることを検討していま
す」とあります
また「窓口で交付するリーフレットは、郵送提出分に対し
ても交付するのか」に対して、「返信用封筒と申告書等の
控えを同封された方に対しては、当分の間の対応として
窓口での収受の場合と同様、・・・リーフレットを同封して
返送することを検討しています」とあります
何だか健康保険証の廃止と資格証明書の発行のような
話で、上記対応で行政の手間が削減できるのか甚だ疑
問です
恐らくは収受日付印の省略はe-taxに強く誘導するという
ことだと想定されます
法人が金融機関へ申告書控を提出する場合、収受印が
ないのではすっきりしないので、電子申告の受信通知が
ある形にして欲しい、という流れにもっていこうとしている
を思われます
今後の状況を推移を注視したいと思います








06/02/19 確定申告時の退職所得に注意!


長年この仕事をしてきたことによる習慣か、確定申告
に際しては分離課税である退職所得は源泉所得税等
も控除済なので関係ない、という先入観があります
しかしここ最近の税制改正で、例えば基礎控除につい
ては合計所得金額によってその金額がゼロから48万
円までの間で変動します
そのため、場合によっては退職所得を所得税申告ソ
フトにきちんと入力しないと、正しい基礎控除が適用
されない、結果税額が正しく計算されないという事態
が起きる可能性があります
上記は配偶者控除についても同様です
ある国税OBの話によれば、退職所得を考慮しない場
合と退職所得考慮時とでは基礎控除の金額が異なる
ということで更正を受けた事例もあるとのことです
専門家としてお客様にご迷惑をお掛けするようなミス
はしないように細心の注意を払いたいものです








06/01/25 申告書控等への収受日付印押捺省略


一昨日同業者が講師となる所得税確定申告セミナーを
受講しました
その中で紙で提出する確定申告書控への収受印は今回
が最後との話がありました
そこで調べたところ、今年の1月4日付で「令和7年1月から
の申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」と
いう文書が国税庁から出ていました
その概要は

・令和7年1月から申告書等の控えへの収受日付印の押なつ
を行わない
・対象となる申告書等とは、申告、申請、請求、届出等税務署
に提出される全ての文書をいう
・そのため紙で申告書等を提出する場合は従来とは異なり正
本のみを提出(送付)する
・申告書等の提出事実及び提出年月日の確認方法は以下の
通りとなる
 *e-taxによる申告等はe-taxで可
 *申告書等情報取得サービス
 *保有個人情報の開示請求
 *税務署での申告書等の閲覧サービス
 *納税証明書の交付請求

というものです
形式的なものという判断なのか、税理士業界でも議論された
という話は聞いていません
しかし納税者側にとっては重大な問題で、法人個人を問わず
紙提出の場合で金融機関から控を求められた場合、どう対応
すべきか困ります
30年以上この業界に身を置く私から見て、ある意味税務行政
の大転換です
更に調べを進め今後の対応を1年かけて考えたいと思います








05/12/29 令和6年度税制改正大綱(概要)


大綱の中で一般個人及び中小企業等に関係しそうな主な項目は
以下の通りです(順不同)

・所得税、個人住民税の定額減税
→6年6月から本人及び扶養家族等1人につき所得税3万円、個
人住民税1万円が減税される

・中小企業を対象として賃上げ促進税制に繰越控除制度を創設

・子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充

・子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充

・子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充(実施は7年から)

・交際費課税の見直し
→いわゆる会議費対象の基準を1人当たり5千円以下から1万円以下
に引き上げ

・法人版事業承継税制の特例承継計画提出期限を令和8年3月末まで
2年延長(特例措置適用期限は令和9年12月末で変更なし)

・外形標準課税
→色々事前に言われていたが、資本金と資本剰余金との合計額が10
億円を超える場合が対象となったので、大半の中小企業には関係が
ない

・扶養控除等の見直し
→児童手当の拡充に伴い令和7年度税制改正で結論を得る予定








05/11/20 外形標準課税の行方


ここ最近外形標準課税についての議論がマスコミ等でも
出ていましたが、先日財務省の有識者会議で簡単に言え
ば従来の「資本金」に代えて「資本金と資本剰余金の合計
額」を新たな基準にすることが望ましい、との答申があり
ました
その後、新聞紙上で自民党税調の宮沢会長が

・資本金1億円超が基準となっている外形標準課税の適用
基準を拡大する
・大企業が資本金を1億円以下に減資して税制上の中小
企業となることで節税する動きを防ぐ
・外形標準課税の対象拡大は節税目的だけ抽出

とコメントしていました
上記を見た瞬間に

・どうやって節税目的のみ抽出するのか
・既に減資した法人はどうなるのか

といった素朴な疑問が浮かびました
その後、11月14日に総務省地方財政審議会から意見書
が提出され

・減資への対応としては、資本金と資本剰余金の合計額
が一定水準を上回る法人を外形標準課税の対象として追
加することが適当
・上記見直しは実質的に大規模といえる法人を対象とする
ものであり、新たに対象となる法人の範囲(追加基準の水
準等)については、政府の経済施策や経済団体等の意見
を踏まえた検討が必要

との内容でした
一連の流れを見れば令和6年度税制改正で何らかの手当
がなされるのが自然です
去る11月17日に自民党税調の総会が開催され、令和6年度
税制改正に向けての議論がスタートしました
今後の動向を注視していきたいと思います








05/10/30 インボイスとETC


国税庁の質疑応答事例に「クレジットカード会社からの
請求明細書」という項目があり、そこに「請求明細書等は
・・・請求書等には該当しません」、なお「ETCクレジットカ
ードで精算を行った場合の、支払った料金に係る仕入税
額控除の適用については、『消費税の仕入税額控除制度
における適格請求書等保存方式に関するQ&A(平成30年
6月)(令和5年10月改訂)』問103をご参照ください」とあり
ます
そこで上記問103を見ると、「原則、高速道路会社が運営
するホームページから通行料金確定後、適格簡易請求書
の記載事項にかかる電磁的記録をダウンロードし、それ
を保存する必要があります」との記載があります
上記作業を毎回することが現実的でないことは明らかなの
で、この原則の例外はと思い問103の(注)を見ると、「利用
明細書については、クレジットカード利用明細書の受領ごと
に(毎月)取得・保存する必要はなく、・・・一回のみ取得・保
存することで差し支えありません」とあります
ここで次にこの「一回」の意味するところを確認する必要が
あります
国税庁の「お問合せの多いご質問(令和5年9月15日掲載)」
の後半部分に、「以下のQ&Aは、『消費税の仕入税額控除
制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和
5年4月改訂)』の公表後、お問合せの多い事項について、
追加問として整理し、集約したものです」とあり、その問④
に以下の記載があります
「利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る利用
証明書を令和5年10月1日以後、一回のみ取得・保存する
ことで差し支えありません」、すなわち主な高速道路会社は
東日本以下数社しかありませんので、その数社の明細を
1回DLすればいいことになり、簡単ではありますがこの作業
に実質的な意味はほぼないと思われます
考えるに、クレカ使用の場合、請求明細で仕入税額控除の
要件を満たすことはできず、使用時ごとの明細が必要で、
しかしETCについて使用時ごとを要求するのは非現実、と
いって何もなくてOKとも言えず、結果上記のような極めて
形式的な対応になったと想定されます
かつて言われた通達行政ではありませんが、これら質疑
応答事例、Q&A等の法的な位置付けを国税庁から説明
してもらいたいものです








05/10/13 外形標準課税についての改正はあるか?


従来から議論のあった会社規模をどのような基準で
測定するか、特に外形標準課税の適用について減資
をする企業が多々あるなか、その対応策について総
務省で議論がなされているようです
去る10月12日に「地方法人課税に関する検討会」が
開催され、外形標準課税の見直しの具体化について
議論されたようです
総務省は、「会計上の期末の『資本金+資本剰余金
の額』がX億円を超える場合には、資本金が1億円以下
であっても外形標準課税の対象とする」という案を検討
しているようです
問題はここでいう「X億円」がどの程度かですが、1億円
より有意に大きい数字が想定されているようです
上記と類似の概念として「資本金等の額」もありますが
自己株式取得により納税者が意図的に操作できること
から、本命の指標ではないようです
令和5年度税制改正大綱では、「外形標準課税の対象
から外れている実質的に大規模な法人を対象に、制度
的な見直しを検討する」とあるため、結論に至るまでに
は調整が難航することも予想されますが、総務省等が
長年頭を悩ませてきた外形標準課税逃れ問題につい
て、決着へ向けて議論が開始されたということかと思い
ます
減資により資本金を1億円にした会社等は今後の議論
を注視していくことが不可欠かと思います








05/09/20 いわゆる2割特例について


10月1日からのインボイス制度導入に際して、小規模事業者
向け経過措置としていわゆる2割特例があります
これは仕入控除税額を売上等の税額の8割とするものです
この2割特例は、簡易課税制度のように事前の届出や継続
して適用しなければならないという制限はなく、申告書に2割
特例の適用を受ける旨を付記することにより、適用を受ける
ことができるというやや不思議な制度です
一方で課税事業者選択届出書を提出していると、原則として
この2割特例が受けられなくなります
取引先等との関係でインボイス登録をしたような場合、この2割
特例を使うケースが多く想定されます
そのような場合、上記の点は注意が必要でしょう
国税庁が出している「消費税の仕入税額控除制度における
適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)」を
見るといまさらですが156ページもあります
制度実施まであとわずか、再度注意すべき点等を確認する
必要があるとの思いを強くしました








05/08/18 インボイス導入後の在庫評価


昨日消費税に造詣が深い(定期的に国税庁等と情報
交換もしている)税理士の話を聞きました
当然内容はインボイス制度への対応です
その中で非常に気になったのが在庫の評価です
通常は税抜経理なので財務会計システム上で

仕入/買掛金 110

と税込入力すれば、在庫(棚卸資産)は自動的に100/110
を掛け100と計算されます
インボイス導入後、免税事業者からの仕入について
上記と同じ仕訳をすると在庫は本来110になります
しかし経過措置として令和8年9月30日までの3年間は
免税事業者からの仕入であっても80%の割合で仕入
税額控除が可能、いわゆる8割特例があります
そのため上記の仕訳を免税事業者について行った
場合、在庫評価は110ではなく102、すなわち8割特例
で控除できなかった2割を本体に加算することになり
ます
個別に考えると上記理屈はわかりますが、では法定
評価方法である最終仕入原価法との関係は、と考え
るとよくわからなくなります
昨日話をしてくれた税理士もわからないとの回答で
あり、国税庁担当者もその点についてはコメントして
いないとのことでした
インボイス導入まであと1か月余り、まだまだ実務的
には詰めなければならない点が多々ありそうです
更なる研鑽に努める所存です








05/07/26 タワマン節税への対応策


7月21日に「『居住用の区分所有財産の評価について』の
法令解釈通達(案)」がパブコメに付されました
先日来各新聞紙上でも取り上げられていましたので、そ
の概略をご存知の方も多いかと思います
パブコメとは言っても、今までの事例を考えるとこの内容
のまま確定する可能性が高いと思います
この通達のポイントと思われるのは「乖離率」を算定し、
この数値が大きいほど評価水準が低い、すなわち実勢
との差が大きいとして修正を加えるというものです
乖離率が大きい=実勢との差が大きい=節税がなされ
ている、とより判断される場合は

・築年数が浅い
・建物の総階数が大きい(≒高層のタワマン)
・専有部分の所在階が大きい(≒高層階に位置する)
・専有部分の面積が相対的に大きい(≒高額な部屋)

要は新築の高層タワマンの最上階の最も広い(≒高額)
部屋、が評価修正のターゲットというイメージです
なお「納税者が簡易に計算するためのツール」が用意さ
れる予定とありますので、今後の情報開示にも注意が
必要です








05/06/27 政府税制調査会の考え方


昨日政府税調の有力委員である大学教授の話を
聞きました
日本の税制の決定過程は、おおまかに言えば政府
税調が長期的方針を提言し、与党(自民党)税調が
具体的に年度改正を行う、という感じの役割分担に
なっています
その中で気になった内容としては

・所得税限界税率10%以下の納税者が82%
・事業税付加価値割も消費税も付加価値に対する
課税という点は同じだが、経済学的には付加価値
割は国際競争力を阻害する悪い性質を持つ
・消費税は逆進的ではなく累進的でもない
・社会保険料は逆進的な面がある
・消費課税は効率性をより実現できるが、垂直的
公平性は実現しにくい
・個人所得課税は垂直的公平性を実現できるが
効率性を阻害する恐れがある
・効率性を実現すべく消費課税、垂直的公平性を
実現すべく個人所得課税を行うという役割分担が
必要
・消費税と累進的個人所得課税に給付付税額控除
を組み合わせることにより現実的な方策になる
・課税に伴う超過負担は税率の二乗に比例するの
で、理論的には早期の税率引き上げが望ましい

という点が挙げられます

結論として、個人所得税の累進性の維持、金融所
得課税の現状維持、消費税率の早期引き上げ、と
いう印象を受けました

短期的な議論だけではなく、長期的理論的な面にも
注意を払う必要性を感じさせる講演内容でした








05/05/24 令和6年度税制改正


ある業界メルマガに早くも令和6年度税制改正の
内容予測がありました
具体的には退職所得控除の見直しです
その根拠として5月16日政府発表の以下の内容
があります

「退職所得課税については、勤続20年を境に、勤
続1年あたりの控除額が40万円から70万円に増額
されるところ、これが自らの選択による労働移動の
円滑化を阻害しているとの指摘がある。制度変更に
伴う影響に留意しつつ、本税制の見直しを行う。」

ここで「行う」とあることから、本改正は確定事項で
あると読むようです
また40万から70万への増額を一律にすることにより
人材流動化を促す狙いがあり、同時に2分の1課税
は勤続年数と無関係なことから今回の見直しの対象
とはならないようです
では一律の金額ですが、70万だと財源の問題があり
40万だと勤続20年超からの反発が想定され、現時点
では間をとって50万、あるいは55万という金額が想定
されているようです
いずれにしても令和6年度改正に向けて、政府等の
動向を注視する時期に来たようです








05/04/12 重加算税の賦課


税務調査の結果、重加算税を賦課されると納税者に
とってマイナス、すなわち調査頻度が高くなるというこ
とが言われています
その具体的内容が情報公開によって明らかになって
います
まず実況区分といって、課税庁側は法人を3つに分類
すなわち第1グループから第3グループに区分しています
第1は概ね適正な申告を継続している法人、第3は特に
注視する必要がある法人、第2は第1と第3以外と定義さ
れています
第3に区分される基準は、例えば実地調査の結果、常習
的に多額の不正計算を行っていることが把握された法人
となっています
この辺りを捉えて、重加算税を賦課されると第3に区分さ
れ、結果特に注視、すなわち実地調査の頻度が高くなる
ということかなと思います
そうなるといったん第3に区分されてしまうとずっとそのま
まなのかという疑問がわきます
この点については「判定換え」というものがあるようで、「統
括官等は、管理の過程において又は実地調査の結果、第
3グループにおける管理を継続する必要がないと認めた法
人については、その認めたときに、他の実況区分に判定換
えを行う」とあります
したがって対応策として想定されるのは、重加算税を賦課
された後の実地調査時には社内体制を整備して、その結果
で統括官に判定換えを交渉するということかもしれません








05/03/24 税理士とお客様


先日東京国税局における富裕層への課税強化の
ひとつの手段に関する資料を見ました
それは「企画依頼連絡せん」というものです
これは所轄署の「所得税等担当特別国税調査官」
が、東京国税局の「上位富裕層担当特官」宛に提
出するもののようです
そこには

・対象者名
・納税地
・業種目
・関与税理士
・検討内容等(分析・検討内容、抽出された問題点)
・関連事業(対象法人名、所轄署、整理番号、担当部門)

等を記載し、添付資料として

・調査対象者申告書等一式(3年分)
・資料せん一式
・家族構成図
・課税上の問題点の概要図
・関係個人(法人)関係資料一式
・戸籍謄本

とあります
要は大規模複雑な案件で所轄署では対応しきれ
ないものを局に持ち込み、より広域に調査しても
らおうというように見えます
ここで私が気になったのは「関与税理士」の欄が
あり、またそこには「(    )署」とその所在地ま
で書く欄がある点です
本来は(   )署というのはおかしい気もしますが
税理士の場合、例えば私が所属する芝支部のエ
リアは芝税務署のエリアと全く同じなので、このよ
うな記載になるのでしょう
自分の仕事はお客様を通して世間から見られて
いることを再度自覚させられました








05/02/13 新旧対照表


財務省HPに税制改正に関する新旧対照表がアップされた
ので、早速買換え特例の条文をチェックしました
租税特別措置法第65条の7(特定の資産の買換えの場合
の課税の特例)を見ると、いわゆる先行取得についての第
3項には改正がなく、買換え一般について述べている第1項
が「当該買換資産(政令で定めるところにより納税地の所轄
税務署長にこの項の規定の適用を受ける旨の届出をした
場合における当該買換資産に限る。)」となり、カッコ内の記
述が追加されています
したがって具体的にどのような形での届出が要求されること
による規制強化かの詳細は政令を待つ必要がありますが、
やはり買換え全般について確定申告より前のタイミングで届
出が必要となるもののようであり、先行取得の場合の届出要
件が強化されることになるという理解は誤りだと思われます








05/02/08 続・税制改正大綱の読み方


去る2月3日に「所得税法等の一部を改正する法律案」が
国会に提出されました
まだ新旧対照表が公開されていないので詳細を確認はで
きていませんが、上記法律案の関係資料として「法律案要
綱」が公表されています
その要綱の「2 法人課税」の(11)⑤(要綱P.26)に以下の
ような記述があります
すなわち「特定の資産の買換えの場合の課税の特例(資
産の譲渡をした日を含む事業年度前に資産の取得をした
場合を除く。)の適用要件に、納税地の所轄税務署長に本
特例の適用を受ける旨の届出をすることを加える。」とあり
ます
やはり先日言及したOB税理士の指摘の通り、先行取得の
場合を除いて届出が必要となり、税務雑誌の記述にあった
先行取得の場合の届出要件強化という理解は誤りと思わ
れます
きちんと立法者の記述を確認した上で法律の意味を考え
なければならないということを再確認させられたできごとで
した








05/01/30 税制改正大綱の読み方


先日OB税理士のセミナーを受講し、そこでの指摘
事項が気になっています

買換え特例を制限する改正で、大綱の72ページに
ある以下の記述についてです

「⑤先行取得の場合、特定資産の譲渡に伴い特別
勘定を設けた場合の課税の特例及び特定の資産を
交換した場合の課税の特例を除き、・・・、取得予定
資産又は譲渡予定資産の種類等を記載した届出書
を納税地の所轄税務署に届け出ることを適用要件
に加える」という個所です

ある税務雑誌では「先行取得の場合の届出要件が
強化されることになる」「特別勘定を設けた場合と特
定の資産を交換した場合は例外となりますが、それ
以外では、事前届出が必要です」というような記載が
あります

しかしOB税理士の読み方だと「先行取得と特例を除
き」事前届出が必要、」すなわち通常の買換えの場
合こそ四半期届出が必要という、上記税務雑誌とは
逆の意味になります

確かに大綱の続きを見ると「⑥先行取得の場合の
届出書について、その記載事項を上記⑤と同様と
する見直しを行う」とあります

この記述を素直に読めば、⑤は先行取得以外の
場合についてのもので、⑥で先行取得の場合につ
いて書いていることになります

いずれにしても読み方によって逆の解釈になるとい
う困った事態で、それはまさに大綱という性格上大
まかな記載に止まっているという点にも由来してい
ると思います

幸い本改正は6年4月1日以降の話なので、今後の条
文や財務省の解説等で十分確認したいと考えます










04/12/07 令和5年度税制改正の内容


ここに来て各方面から少しずつ改正内容と思われるもの
が伝わってきています
まず大綱が発表されるのは12月15日木曜日のようです
それを織り込んでか12月16日金曜日の午前中に税制改
正セミナーを予定している資産税専門の税理士法人もあ
ります
改正の具体的内容として、資産税でここ最近の間改正が
あるあると言われていた贈与税相続税に関して、相続税
に取り込まれる暦年贈与の期間が従来の3年間から7年
間に延長されるようです
ただ具体的な適用の仕方というか経過措置的なものが
どうなるかは不明なので、場合によっては大綱発表後に
駆け込み贈与が起こるかもしれません
もうひとつ改正の具体的内容として、事業用資産の買換
え特例があります
譲渡資産と買換資産との事後的紐づけを防止するため
に一定の届出制が導入される見通しのようです
現在まさに自民党税調で協議がなされているところなの
で、大綱発表予定日まであと1週間程ではありますが今後
も少しずつ改正内容が明らかになってくると思われます










04/11/16 少額減価償却資産の対象資産の見直し等


令和4年度税制改正で、少額減価償却資産に係る損金
算入制度を利用して所得金額を圧縮することを目的とす
る節税スキームが規制されました
この節税スキームは、当初大量の少額減価償却資産を
購入し、その取得価額を一括して損金の額に算入し、そ
の後、複数年に渡り収益を計上することで、損金と益金
との計上時期の相違を利用して節税を行うものです
令和4年度税制改正により、少額減価償却資産から「貸
付けの用に供した資産」が除外され、しかし「主要な事業
として行われているもの」は「貸付けの用に供した資産」
から除かれるというものです
では認められる「主要な事業として行われる貸付け」とは
何かについて、この6月に法人税基本通達7-1-11の3が新
設され、その趣旨説明がこの11月に公表されました
これによれば「通常の事業としての貸付けであれば、おお
むね経営資源を活用して行うものに該当すると考えられる
ところ、法人が行う資産の貸付けについて、その貸付けに
よる収入等の規模が他の主たる事業による収入等の規模
と比較して相対的に小さかったとしても、その貸付けが経営
資源を活用して行われるものである場合には、当該類型に
該当する」とあります
しかしその一方、「資産の貸付けがその目的物及び租税
に関する知識のみで行われるような場合の当該貸付けは、
・・・法人税の負担軽減手段として利用するために行われる
ものと認められることから、・・・当該類型からは除外されて
いる」とあります
要は通常の社内リソースが知識等のみの場合は認めない
ということかと思います
よく言われる節税以外の経済合理性が必要、という言い方
もできるかもしれません










04/10/14 所得税基本通達の改正(続)


先日のパブコメを踏まえて、所得税基本通達35-2が
改正されました
その35-2(業務に係る雑所得の例示)の中で、「その
所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない
場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、
かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)
には、業務に係る雑所得に該当することに留意する。」
となっています
当初案では収入300万以下の場合は、反証がない限り
雑所得としていたものを、300万以下でも帳簿の保存が
あれば社会通念で判断、に変更したものです
注意しなければならないのはパブコメに対する国税庁
の説明(=御意見に対する国税庁の考え方)にもある
通り、「収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類
の保存があれば、原則として、事業所得に区分される
ことになります。」という点です
この「原則として」という文言を捉えれば、帳簿書類の
保存があっても雑所得認定されることがあるということ
です
したがって事業所得に自ら区分し損益通算しているよ
うな場合は、課税当局からの指摘に備えて社会通念
からの反証を準備しておく必要があります










04/09/15 令和5年度税制改正の方向性


昨日財務省主税局長の話を聞く機会を得ました
その中で何点か令和5年度改正に関すると思わ
れる事項がありましたので以下記載します

・所得税
租税は「社会共通の費用を賄うための会費」とい
う点を強調していました。ということは課税強化の
方向ということでしょうか?
また高額所得者の状況に鑑み、土地と株式の譲
渡所得課税強化を匂わせているように聞こえまし

加えて資産所得倍増プランという閣議決定がある
ため、NISAの抜本的拡充を想定しているようでした

・相続税(贈与税)
法定相続分課税方式の改正は慎重に検討した上
でとの話で、短期的改正はないと思われます
暦年課税、精算課税併存はそのままで、ただし3
年を諸外国のように長くする、また精算課税の使
い勝手を改善するという方向のようです

・法人税
近年の累次の法人税改革も、意図した成果を上
げてこなかったという認識があるようで、研究開発
税制や各種租特については十分検証の上、存続、
見直し等を考えていくということのようです










04/08/25 総則6項に関する最高裁判決(続)


税務雑誌にこの分野に造詣が深い品川教授の
対談記事がありました
そこで述べられていたことの要旨としては

・不動産業を行う計画がなく実勢と通達との乖離
を利用して結果相続税負担を軽減している場合
には否認リスクがある

・評価通達185のカッコ書きに「課税時期前3年以
内」と書いてあるから「3年過ぎたから大丈夫だろ
う」とは言えなくなってきているのと同様、今回の最
高裁判決を根拠に国税当局が強気になるのは間
違いない

・アドバイザーとしての税理士がどれだけきちんと
対応できるかがこれからの課題

との内容です
いずれにしても今後も多くの専門家から今回の判
決についてコメントがなされると思われるので、それ
らを踏まえて実務家として自らの考え方を確立する
必要があると考えています










04/08/10 所得税基本通達の改正


この8月1日付で所得税基本通達に関する改正案の
パブリックコメントが公示されました
今般の改正案は以下の2つで、雑所得の範囲の明確
化を意図していると思われます

①その他雑所得の範囲の明確化
②業務に係る雑所得の範囲の明確化

特に上記②に以下の記述があります
すなわち、「その所得に係る収入金額が300万円を超
えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑
所得と取り扱って差し支えない」というものです
そもそも事業か雑かは、専門家にとってもその判定は
困難です
なぜならこの通達改正案にもある通り、「社会通念」とい
う曖昧な基準に拠るからです
この点を改善すべく300万というひとつの基準を採用しよ
うという目論見と思われます
上記を踏まえると、300万円に満たない収入を事業所得
に区分し、その赤字と例えば給与所得とを損益通算して
いたような場合、事業所得に区分した論拠を従来以上に
注意して準備しておく必要があるということかと思います
今後出るであろう逐条解説等にも注意を払う必要があり
ます










04/07/12 電子取引とは?


電子帳簿保存法の関係で、「一問一答」や「取扱通達
解説(趣旨説明)」の内容が頻繁に更新されています
先月6月にも多くの更新がありました
そんな中、実務で問題になっているのが

・FAXやネットバンキングは電子取引に該当するか
・メールで相見積もりを受領したら全て要保存か

というような点です
まずFAXですが、通常の紙を前提にしたFAXは電子
取引に該当しません
しかし複合機等のFAX機能で電磁的保存を前提とす
るような場合は、電子取引に該当し当該電磁的記録
の保存が必要になります
ネットバンキングも原則EDI取引として電子取引に該
当し、銀行窓口で受領する書面の記載事項(振込等
をした年月日・金額・振込先等)が記載された電磁的
記録の保存が必要となります
次に相見積もりについてです
取引情報の授受の過程で発生する訂正又は加除の
情報を個々に保存することなく、確定情報のみを保存
することとしている場合には、これが認められます
しかし、この場合における訂正又は加除のデータとは、
確定データに至る前の情報のことなので、例えば、見
積書の場合、前の見積金額を変更して、新たな見積
金額として確定する場合には、各々の見積金額が確
定データになるので、最終的に合意に至った見積デー
タのみを保存するのではなく、各々の見積データを保
存する必要がある点に留意が必要です
同様に複数社から相見積もりを受領した場合、最終
的に合意に至った見積書だけでなく、受領した見積書
のすべてについて保存が必要です










04/06/21 事実上の貸倒れ


法人税基本通達9-6-2で回収不能の金銭債権の
貸倒れ、いわゆる事実上の貸倒れが規定されて
います
あるメルマガでこの場合の損金経理はマストでは
ない、という根拠として裁判例や国税OBの書籍の
記載が提示されていました
本当にそう考えていいのだろうかと思い、第一法規
や税務研究会の書籍を調べ、また国税OBに質問
してみました
損金経理がマストではないということは別表4で減算
することになります
しかし粉飾の場合は減算できないことになっています
そう考えると、損金経理をしないで別表減算する時点
で粉飾ではないと見ることはかなり困難と思われます
このように考えると法文上は損金経理はマストではな
く、その損金経理を通達で強制することはできないが
しかし結果的に損金経理せずに別表減算することは
著しく不適切、ということかと思います
税法等の解釈はやはり簡単ではありません










04/05/20 総則6項に関する最高裁判決


令和4年4月19日に総則6項に関する最高裁判決が
でました
最高裁のHPで確認できますが、印刷するとA4で5枚
の内容です
一審、二審を総合的に踏まえた権威ある方の判例
評釈はまだですが、税理士業界や影響を受けそうな
不動産業界では様々なコメントが見られます
それらを相当数読みましたが、現時点での私の印象
は次のようなものになります

・通達に依った結果、税負担が減ることが即違法とな
るわけではない

・しかし税負担の減少があり、かつそのことを意図して
いたような場合は、公平原則に反して違法

ということは、納税者としては(その納税者から相談を
受ける税理士も同様)税負担は少ないほうがいいに
決まっているので、税負担減少を意図していたわけで
はないという論理的な説明が必須になるということかと
思います
意図という主観をどう説明するかはまた難しい問題で
すが、外観という客観的なところで説明することになる
かと思います
それは税負担減少額、購入不動産の価額、購入時期
等様々でしょう
この点についての今後の議論を注視したいと思います










04/04/18 法人版事業承継税制の改正(令和4年度)

法人版事業承継税制のうち、いわゆる特例措置は平成
30年度税制改正で10年間の時限措置として創設をされま
した
そこではその適用を受けるため、令和5年3月31日までに
特例承継計画を都道府県宛提出し、知事の確認を受ける
ことが必要でした
そして上記確認を受けている場合に限り、令和9年3月31
日までの間の相続・贈与に適用されます
これらに関して令和4年度税制改正で、令和5年3月31日ま
でだった特例承継計画の提出期限が1年延長され令和6年
3月31日までとされました
しかしここで注意すべきは適用期限の延長はなく、かつ延
長はされないであろうという点です
昨年12月10日の与党税制改正大綱には下記のように記述
されています
「法人版事業承継税制については、(・・・)今般の感染症の
影響により計画策定に時間を要する場合もあるため、特例
承継計画の提出期限を令和6年3月31日まで1年間延長す
る。この特例措置は、(・・・)事業承継を集中的に進めるた
めの時限措置としていることを踏まえ、令和9年12月末まで
の適用期限については今後とも延長を行わない。事業承継
を検討している中小企業経営者の方々には、適用期限が
到来することを見据え、早期に事業承継に取り組むことを
強く期待する。」
上記を踏まえれば、法人版特例事業承継税制の適用を受
けるか否かに関わらず、都道府県知事の確認を受けておく
ことを再度検討することが必須です
同時に延長がないとはいえ適用期限にはある程度の期間
があるので、特例措置以外の事業承継対策(暦年贈与、相
続時精算課税贈与、株価引下対策等)との対比検討をする
ことも不可欠と思われます










04/03/18 所得税等確定申告期限の延長

今回の所得税確定申告は、昨年一昨年のような全体と
しての申告期限延長はなく、今年2月に4/15までの個別
延長を認める旨が発表されました(贈与税、消費税も同
様)
そこでの「簡易な方法による延長」は、申告書の欄外に
「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」
と記載すればよいというものでした
そうなると振替納税は当初の所得税4/21(木)、消費税
4/26(火)からいつに変更になるのだろうか、と思ってい
ました
そんな中、当初の申告期限直前の3/14(月)にe-Taxの
通信障害が発生しました
私もちょうど会計ソフトを使用しての電子申告を試みて
いたところで、確かに国税庁に繋がりにくい状況でした
上記不具合状況が最終日3/15(火)も継続したため、同
日国税庁から「申告所得税、贈与税の申告・納付期限の
個別指定による期限延長手続の具体的な方法」が発表
されました
結論として申告書欄外や特記事項欄に「e-Taxの障害に
よる申告・納付期限延長申請」と記載すれば4/15まで延
長するというものです
加えて3/16(水)に「申告・納付期限の延長をされた方で
振替納税をご利用の方へ」が公表され、上記申告延長
をした場合、申告所得税5/31(火)、消費税5/26(木)が
振替日とされました
やはり所得税確定申告に際しては、大変ではありますが
余裕を持って臨む必要があるということを再認識しました










04/02/14 国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例

令和2年度税制改正で導入された表題の規定が、令和3年分の
所得税確定申告、すなわちまさに今取り掛かっている申告から
適用になります
この規定は、国外中古建物の貸付けにより多額の減価償却費を
計上することにより発生した不動産所得の赤字を給与所得等と
損益通算することにより税額を軽減するスキームを封じ込める
ために導入されたものです
表題にあるように「建物」に関するものなので、土地建物を一体
で貸付けている場合、どのように建物部分の赤字を計算するか
は実務上それほど簡単とは思えません
国税庁が公表している「 年分青色申告決算書又は収支内訳書
付表」によると、「国外中古建物の損失金額等」として、A収入金額
からB必要経費を控除し、まずC損失金額を算定します
次にDとして、Bの必要経費のうち減価償却費の金額を取り出し、
E国外中古建物の損失金額のうち償却費の金額(CとDのうちいず
れか少ない方の金額)を算定、最後にCからEを控除してF国外中
古建物の損失金額のうち償却費以外の金額を計算し、このFだけ
が損益通算の対象になるということかと思います
この付表にはもうひとつ「国外中古建物以外の国外不動産の所得
金額」という欄があります
ここで土地建物を一括で貸している場合、上記Aに該当する建物
に対する収入金額はどう計算すべきなのでしょうか
建物以外の欄がある以上、土地と建物に賃料を按分するようにも
思われます
ある税務雑誌によれば一括賃料を土地建物の購入価格で按分
するよう課税当局は指導、となっています
そうなると日本国内の不動産取得で時々あるように、購入金額
が土地建物一括でそれをまた按分しなければならない、というよ
うなことは起きないのでしょうか
私自身お客様で海外不動産をお持ちの個人の方がいないため
上記も机上の問題として考えてきました
実務的にどう考えるべきか、もう少し調べてみたいと思います










04/01/05 電子帳簿保存法の(再)改正

令和4年度税制改正でこの1月1日から改正予定だった
電子帳簿保存法がさらに改正され、昨年末に省令、通達
等が発表されました
いわゆる「電子取引に関する2年間の宥恕措置」です
私自身も昨年6月に、これに関する問題点等を指摘してき
たところです
典型的な例としてはメール添付で受領した請求書を、従来
は出力して保存でOKだったものが検索要件を満たす形で
電子データとして保存する必要があるというものです
今回のいわゆる宥恕規定により国税庁のパンフレットを
見ると

「(本来は)・・・電子取引の取引情報に係る電磁的記録に
ついては、その電磁的記録の出力書面をもってその電磁
的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されま
した」

が、しかし宥恕規定として

「令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存
すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等
の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありま
せん(事前申請等は不要)。令和6年1月からは保存要件
に従った電子データの保存が必要ですので、そのために
必要な準備をお願いします。」

とされています
ということはこの2年間でどのようなクラウドサービス等が
提供されるかを注視し、費用対効果が最大になるような
対応を検討する必要があるということになります










03/12/10 令和4年度税制改正大綱

正式には今日12月10日に与党税制改正大綱が
決定されます
しかし実態としては昨日自民党で大綱(案)が決
定されていて、その内容を確認しました
ここ最近の新聞報道等では贈与税の見直しとい
う話は聞こえてきていませんでしたが、税理士業
界としては大きなトピックとして今回の改正での贈
与税見直しが挙げられていました
暦年贈与の廃止、あるいは暦年贈与の制限強化
が見込まれている、との内容が資産税専門事務
所からは何度となく発信されてきました
しかし上記大綱(案)には具体的改正は全くなく、
基本的考え方という個所での記載は

「今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と
贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、
現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の
あり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観
点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立
的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進め
る。」

と、これから検討するような表現になっています
大綱全体の精査分析を進めていく所存です










03/11/24 新事務所での業務を開始しました
去る令和3年11月22(月)から虎ノ門の新事務所での
業務を開始しました
従来の霞が関の事務所から徒歩数分の場所なので
お近くにお越しの節は是非お立ち寄り頂ければと思い
ます
まだ段ボールに囲まれた状態ですが、気持ちも新た
に業務に邁進する所存です
関係各位のますますのご支援を賜りたく何卒宜しくお
願い申し上げます
新事務所の詳細はアクセスをご覧下さい










03/10/15 廃業時に保有する資産のみなし譲渡
昨日消費税に造詣の深い税理士の方の話を聞きました
そこで気になった内容が、会計検査院平成30年度決算
検査報告(令和元年11月8日内閣送付)における廃業時
に保有する資産のみなし譲渡についてです
消費税法では個人事業者が事業を廃止した場合、事業
用資産はその資産を直接家事のために使用していない
場合であっても、事業を廃止したことにより事業用資産
に該当しないことになった時に、家事のために消費又は
使用したものとして「みなし譲渡」の規定が適用され、消
費税の課税対象になります
この点について会計検査院が各税務署の申告書を調べ
たところ、廃業時に事業用資産があるにもかかわらず、
所得税確定申告書等における事業所得等の課税売上
高が消費税確定申告書等における課税標準額と同額
となるなどして、事業用資産の未償却残高を消費税の
課税標準額に計上していることが確認できないケース
が極めて高い比率であったようです
日常業務においても、廃業は頻繁に遭遇するものでは
ありませんので、家事消費を課税売上とするのは当然
として、上記のみなし譲渡は盲点かもしれません
私たち専門家も日常から見落としがないか注意して業
務を進める必要があり、また法改正を含め不断の学び
が不可欠であると再認識しました










03/09/14 令和4年度税制改正の方向性
昨日財務省主税局長の話を聞きました
その中で令和4年度税制改正の方向性を示しているかも
しれないと思われる内容がいくつかありました
それについて以下説明します
まず今年6月のいわゆる骨太方針から

・応能負担の強化
・適切な所得等の把握のための環境整備
・記帳水準の向上
・DXへの対応

を指摘しました
応能負担の強化の例としてアメリカにおけるキャピタルゲ
イン課税の強化を取り上げました
またここ数年の所得税の改正状況からは

・高額所得者への課税強化
・働き方の多様化への対応
・金融所得課税の見直し

を指摘しました
この金融所得課税の見直しは高額所得者への課税強化
ともリンクしていて、昨年12月の与党大綱でも「総合的に
検討」とされていました
資産課税の見直しについては残念ながら今後の政府税調
の議論を待つとのことでやや肩透かしでした
最後は個人の記帳状況についてで、白が40%、青が60%、
青60%は正規の簿記と簡易簿記とが半々で、改善が必要
との見解でした
以上から今後の方向性としては

・金融所得課税強化を含む高額所得者の課税強化
・記帳状況の改善
・納税環境等を含むDXへの対応等(例えば想像で言えば
電子申告を強制する方向性等)

が想定されます
業界で話題になっている暦年贈与の廃止や制限について
は、各所での議論を注視する必要があります










03/08/19 法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)
今回この通達に該当するか否かが問題となった事例を
見かけました
それは8月決算会社で9月に開始する生命保険につい
て、8月中に支払をしてしまえばこの通達の適用がある
のか、という事例です
現時点で最新版となる「法人税基本通達逐条解説(十
訂版)」によれば、「その支払った日から1年以内に提供
を受ける役務に係るものに限られている」ので、「例えば
12月末決算法人が、翌年2月1日からの1年分の家賃を
12月中に支払ったような場合には、(中略)役務提供の
終わりは1年を超えることになるから、(中略)本通達の
適用がない」とされています
上記と同じ趣旨の内容が、法人税基本通達の制定に
携わった渡辺淑夫先生の論文にも書かれています
このような内容の記載がされるのは、古い時代の通達
では「翌事業年度中にその支払の対価にかかる役務等
の受入れの開始のあるものを含む」という記述があった
ので、この部分についての取扱いが従来より厳密になっ
たことを明らかにするためと思われます
したがって本通達を適用して一時の節税的なことを検討
する場合には、通達が示す適用要件に合致するか厳密
な検討が不可欠と考えます










03/08/02 一問一答の公表
電子取引データ保存の厳格化に関して、先月国税庁から
通達や一問一答が公表されました
これにより今までよくわからなかった点がある程度わかった
気がします
これまでの情報を総合して考えると、中小企業の対応として
は以下の3つが想定されます

(1)紙での対応(例:請求書の郵送を受ける)に戻す
(2) 検索機能が確保されたシステムを導入する
(3)上記(2)が困難な場合の代替的措置として以下のように
対応する
 ①事務処理規程の整備
 ②エクセル等の表計算ソフトにより索引簿等を作成し、
 当該エクセル等の検索機能を使用して当該電磁的記録
 を検索できる状態にしておく方法


ただ運用の観点から上記(3)には不安が残ります、すなわち
どの程度の厳密さを要求されるかが現段階では未知数なの
で事務処理規程の例が発表されてはいてもこの(3)がベスト
か否かは十分検討する必要があります
多少のコストを負担をしても、今後発表されるかもしれないベ
ンダーによる中小企業向けシステムを導入したほうが現場へ
の負荷は小さいかもしれません
あるいはまた上記(3)の運用に関してさらに具体的に国税庁
から情報が公表されるかもしれません
という意味で引き続き各種情報へ注意を払う必要がありそう
です










03/06/30 電子取引データの厳格な保存
既に何度かお伝えした令和3年度税制改正の内容です
従来の電子帳簿保存法にあった「当該電磁的記録を出力する
ことにより作成した書面・・・を保存する場合は、この限りではな
い」という文言が削除されたことによる影響です
昨日国税OBの税理士の方の話を聞く機会があり、やはりそこで
は令和4年1月1日以降は電子取引データに係る書面保存は不可
であり、電子帳簿保存法の要件に従ったデータ保存が必要との
説明でした
では具体的にどうするかですが、抽象的説明としてはベンダーの
提供するクラウドシステムの採用を検討する、というものでした
この点に関して非常に重要な情報として、7月8日(木)に国税庁
からQ&Aと通達とが公表される予定とのことでした
私が調べた限りでは各会計系ベンダーからは本件への明確な
対応策等は発表されていません
7月8日(木)に発表される情報を十分に理解した上で、具体的な
対応を検討する必要がありそうです
またいつまでに対応を決定すべきかについて、上記OB税理士の
方は申告期限、すなわち3月決算会社なら令和4年5月末には決
める必要があるのではという意見でした
メールによる請求書等の授受を行っていない企業はほぼ皆無と
思われますので本件への対応は大きな課題です










03/06/14 電子取引データの保存について
既にお伝えしたように、令和3年度税制改正で令和4年1月1日
以降、電子取引データ、例えばメール添付で受領した請求書
について、従来は出力(印刷)保存が認められていましたがそ
れではダメで何らかの新たな対応が必要になりました
この点に関して先日税理士会の役員で政府税調とも関連する
方の話を聞く機会がありました
その資料には「・・・電子取引に係るデータに要件違反があった
場合でも、改正前は、電子データを書面で出力して保存するこ
とが認められていますが、申告所得税及び法人税に係る保存
義務者が行う電子取引データの出力書面について、税法上の
保存書類として扱わない(宥恕あり)こととされました」との記述
がありました
幸いなことにその方に質問する機会が得られたため、中小企業
の対応方法について尋ねました
その方の回答は、立法者の意図は「規程を定めて、まとめての
タイムスタンプ」か「訂正削除の防止に関する事務処理規程の
備付け」にあるのではないか、とくにこれから出るであろう改正
後の電帳法規則をベースにした「電子帳簿保存法一問一答」
に提示されるひな形に期待すべき、とのことです
ただ別の国税OBの税理士に質問したところ、そもそも検索でき
る状態での保存が必要なため、何らかのシステムは導入せざる
を得ず、税務雑誌等でも大きな問題として指摘されているところ
であり、そのため中小企業から大きな苦情があるので今後の課
税当局の対応を注視する必要があるとのことです
私もこの点についての対策を検討すべく、近々大手ベンダーの
担当者と打合せをする予定にしています
引き続き課税当局の対応に注意を払いたいと思います










03/05/10 所得税基本通達の改正
いわゆる低解約返戻金型保険等を使った節税スキームが
所得税基本通達を改正することにより塞がれることになりま
した
現在パブコメ募集中(5/27まで)で、改正通達は6月末公表、
7月1日施行の見通しです
内容としては既報の通り、低解約返戻金型保険や復旧する
ことのできる払済保険等については、支給時の評価方法を
従来の支給時解約返戻金の額から支給時資産計上額等に
変更するというものです
これにより

・法人から役員への名義変更時の評価額が大きくなること
により、役員は法人に多額の金銭を支払う必要がある
・役員が保険を解約する際に、一時所得の1/2課税の恩典
を受けられる金額が減少する
・名義変更と保険解約による課税対象の合計額が増加する

等の効果が見込まれます
なお本改正は令和元年7月8日以後に締結した契約が対象
で、本年7月1日以後にした名義変更に適用されます










03/03/24 低解約返戻金型保険の所得税の取扱い
ここ数日の間、全国紙や税務雑誌等で生命保険の税制上の
取扱変更に関する記事が出ました
低解約返戻金型といわれる法人契約の定期保険に関するも
ので、具体的には以下のような内容のようです

・法人契約の定期保険を個人に名義変更した際の給与課税
の見直しについて
→経済的利益を解約返戻金で評価している現行の取扱いを
資産計上額の7割未満の場合は資産計上額とする

この仕組みは、解約返戻率が低いタイミングで法人から個人
に譲渡し法人は損金を計上、一方個人は解約返戻率が高く
なってから解約し一時所得課税(1/2が課税対象)で節税を図
る、というものです

今回の見直しに関して単に節税封じではなく、理論的な説明
を課税当局の方が作成した資料に見つけました

それは生命保険の評価方法を

①保険料積立金額
②支払保険料総額
③最高解約返戻率に応じた評価(法基通9-3-5の2)
④最高解約返戻金額の現在価値
⑤同等の保険契約との比較

の5つに分けて考えるというものです

その方の結論は

・養老保険や終身保険は②
・100%>最高解約返戻率>50%の定期保険等は③
・最高解約返戻率が50%以下の場合は解約返戻金相当額

というものです
いずれにしても上記の取扱変更に向けてパブコメが行われる
ようなので、今後の情報に注意する必要があると思われます










03/03/08 令和3年度税制改正②の続き
税務通信3645号(2021/03/08)に「改正電子取引情報保存
制度 実質、全ての事業者に影響も」との記事がでました
その内容は私が1月22日付で記載したものをさらに掘り下
げています
電子メールに請求書等のPDF添付でも電子取引に該当す
るため、現状においても電子取引を行っている事業者は
かなりの数になると推測されます
しかし、現行制度上は出力書面の保存でOKのため、制度
の存在に気付いていないケースが大半だと思われます
令和4年1月1日以降は検索機能の確保が求められるため、
文書管理システムの導入等の検討が必須になると想定さ
れます
ただ法律上はその通りですが、世の多くの中小企業にあと
数か月以内に文書管理システムの導入を求めることは、今
の景気状況等も踏まえればハードルは高いを言わざるを得
ません
また関与先に情報提供しなければならない税理士側としても
問題点の理解及びそれへの対応策検討という点で現状極め
て不十分と思われます
特に怖いのは、自社が電子メールで請求書等をPDF送付し
顧客が検索機能確保等を満たしていない場合、当該顧客
が青色申告の承認取消しになる可能性があるという点です
上記改正法と実務の現状とにどう折り合いを付けていくべ
きか、今後の政省令、通達、FAQ等を注視していく必要が
あります










03/01/22 令和3年度税制改正②
昨日国税OBの税制改正セミナーをオンラインで聞きました
そこでの指摘内容は全くノーマークで少し驚きました
大綱の読み方が浅いと反省した次第です
P120の②ロに「申告所得税及び法人税における電子取引
の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電
磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に
代えることができる措置は、廃止する」とあります
私自身まだこの部分を十分読み取れていないのですが、上
記OBの説明によれば、例えば請求書原本を郵送受領せず
メール添付で受け取った場合、そのPDFを出力して保管す
るのではダメだという内容とのことです
確かに昨日別途入手した財務省作成の資料に、「電子取引
に係るデータに要件違反があった場合でも、現行、電子デー
タを書面で出力して保存することが認められているが、申告
所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引に係
るデータの出力書面について、税法上の保存書類として扱
わない(宥恕あり)こととする」との記載があります
すなわち、改正後は電子取引を行ったとしても、電子データ
保存の要件を満たせなければ紙保存に逃げることができる
という代替手段が完全に封じられることになります
その具体的対応策として上記OBの話によれば

・タイムスタンプを付す
・業者の運営するクラウドに保存する

のいずれかが必要とのことです
上記の通りだとすると、中小企業者にも大きく影響する内
容であり、今後の法案を十分確認し、施行されるのが4年
1月1日なので早めに対応方法を考えたいと思います










03/01/08 令和3年度税制改正①
今日から首都圏が再度の緊急事態宣言となる中、改正の
内容把握に忙しく更新が遅れました
今回の改正に関してある雑誌記事を読んで驚きました
退職所得に関する改正で、令和4年分以降退職所得課税
の適正化として、勤続年数5年以下の役員等以外退職金
について、退職所得控除額を控除した残額の300万円を超
える部分を2分の1課税の適用対象外とする改正が盛り込
まれました
この改正について、「雇用の流動化を後押しする政策」とし
て説明する税理士がいるとの記事なのです
そんな捉え方をする税理士がいるとは驚きです
某OB税理士も「税はそんなきれいな世界ではありません」
と書いていますし、私もそう思います
単純に以前外資系等で問題とされたように、流動的雇用を
前提として給与額を抑え、退職金を多く設定し2分の1課税
の対象を大きくすることにより結果として節税を図る、という
動きを封じるための改正としか思えません
改正の内容を知識としてインプットするだけでなく、趣旨も
きちんと理解する必要があるということを再認識しました











02/11/17 令和3年度税制改正の方向性
税制改正大綱取りまとめに向けて、自民党税制調査会が
議論を開始しているとの報道がなされています
各種新聞や税務雑誌等の記事から見ると、検討が報道さ
れている項目の大半が現在ある制度の延長拡充等で新規
のものは少ない印象です
現在ある制度の延長拡充としては

・研究開発税制の拡充
・株式M&Aの税負担軽減
・住宅ローン控除の特例(13年)の延長
・教育資金一括贈与非課税の延長
・結婚子育て資金一括贈与非課税の延長

等があるようです
また数少ない新規のものとしては

・DX投資減税~クラウドサービスを利用してデータをやり
取りするDXに取り組む企業の投資を後押しするための税
負担優遇策
・税務申告手続の押印廃止

等が報道されています
上記を見る限りでは税制改正としては小粒なものであり、
中小企業経営への影響は大きなものとはならない印象
です
一方政府税調では退職所得課税の在り方が議論されて
いて、万一ここに改正があるようだと企業経営への影響
はそれなりに大きなものとなると思われます
いずれにしても今後も自民党税制調査会の議論を注視し
ていきたいと思います











02/10/30 源泉徴収の要否
最近業界で話題になった件として、交通費等に対する
源泉徴収の要否の問題があります
「報酬・料金」に該当する旅費・交通費等の源泉徴収の
要否に関しては以下の通りとなります
原則フリーランス等が立替払いした場合は源泉徴収が
必要、例外として会社が交通機関やホテル等に直接に
支払う、あるいはフリーランス等が会社宛領収書に基づ
き精算する場合は源泉徴収不要とされます
上記のような取扱いが実務上どこまで徹底されているか
正直疑問があります
またここで気になる点があります
税務通信3626(2.10.19)に、以下のような記述がありま
した
すなわち「タクシーや高速道路の利用など宛名のない領
収書を発行することが慣例となっている場合についても、
源泉徴収が必要となりますか」という問いがあり、その回
答として「・・・源泉徴収不要な旅費・交通費等に該当する
には、会社が交通機関・ホテル等に直接支払うケースと
同視できる必要があるため、発行者に手書きで会社宛て
の領収書を作成してもらう等の対応が必要です」とありま

このように現実には対応が難しいような内容が求められ
ています
これをどこまで厳密に実行するかは厳しい判断を迫られ
るところですが、原理原則は上記の通りであるということ
を理解しておく必要があると考えます










02/10/23 令和3年度税制改正要望
今年はコロナ禍の影響で例年のような形では税制改正の
議論も進んでいないようです
そんな中、昨日経済産業省の税制改正要望担当(企業行
動課長)のお話を聞きました
主たる内容と思われたのは下記の通りです

・研究開発税制に象徴される企業向け減税措置の延長拡充
・コロナ禍への対応としてのDX投資(←具体的には?)
・コロナ対応として、ビジネスモデルの変革を迫られる中小企
業を含めM&Aを円滑化するための措置
・コロナ禍で地価が下落する中での固定資産税への対応
・コロナ対応としての納税環境整備(その一例が確定申告に
おける捺印廃止か)

当然のことではありますが大半はコロナ対応関連で、しかし
大きく目新しいものはないという印象です
今後想定される内容としては、コロナ対応を理由に電子申告
の更なる推進、電子帳簿保存への誘導、納税環境整備として
の事務的手続きの簡略化等があります
細かな点を含め実務への影響はそれなりにある内容も多々
ありますので、今後の議論の推移を注視したいと思います










02/09/18 令和3年度税制改正は?
一昨日財務省主税局長のお話を聞く機会がありました。
例年ですと会場で直接お話を聞けるのですが、今年はこ
のような状況のため、ZOOMでの話になりました。
本来であれば税制改正の方向性がでてくるタイミングな
のですが、今年はコロナの収束が見通せない状況のた
め、改正の方向も流動的なように感じました。
そんな中で問題意識として示されたのは、

・所得再分配機能の強化→金融所得課税の在り方を検
討する必要があるのではないか

・年金への課税をどうするか→現状のままだと入口も出
口もほぼ非課税なので好ましくない

・贈与税と相続税の一体改革→格差固定化を防ぎつつ
資産移転時期に中立な制度にする必要がある

・経済のデジタル化への対応→物理的な拠点のない外国
企業への課税をどうすべきか

のような点でした
関係団体からの税制改正要望はでつつありますので、引
き続き改正の動向を注視したいと考えています










02/09/04 遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権へ
平成30年の民法改正で上記のような名称変更がなされ、
請求権の内容が物件的請求権から債権的請求権へ改正
されました。
事業承継税制で後継者に自社株を相続、他の相続人から
遺留分減殺請求がなされた結果当該自社株を引き渡した
場合、それは相続財産の返還として取り扱われました。こ
の点は改正前民法1028条と1031条によりました。
これに対して、改正後の民法では相続財産の共有化が防
止できるようになった、すなわち当該自社株を引き渡した
場合には当該資産を譲渡したものとして取り扱われること
になりました。
この点を明示したのが所得税基本通達33-1の6と38-7の2
です。
事業承継税制の適用を検討するに際しては、当然のこと
ではありますが、税制のみならず民法(改正後)について
も十分な注意を払う必要があります。










02/08/03 続・家賃支援給付金
7月14日に申請要領等が公開されその受付が始まりました。
7月31日の経産省発表によれば、8/4(火)から給付開始、そ
の件数は7千件の見込み、7/31時点での申請は17万件との
ことです。
基本的な提出資料は持続化給付金と同様ではありますが、
売上減少への補填としての持続化給付金とはその趣旨が
異なるため、当然ながら違いがあります。
特に注意すべきはその申請タイミングで、給付額は申請日の
直前1か月以内に支払った金額を算定の基礎とするため、直
前で支払の猶予等を受けている場合は不利になります。
タイミングは自分で選べるので、元の水準の賃料に戻った時
に元の水準で賃料を支払い、申請を行えば、元の賃料の水準
を対象として給付金を受け取ることが可能となります。
また私が気になっていたのは、実質的には場所の賃貸借だが
飲食店によくある居抜きで借りたために店舗設備等を含む形
でのリース契約になっている場合の取扱いです。
この点については日税連作成のFAQに、土地建物の賃貸借
と類似していることが確認できれば、土地建物の賃料部分は
算定の基礎となりうる、しかし審査に時間を要するであろうと
の記載があります。
これらを踏まえれば、不利にならないタイミングになったら早目
に申請を行い、その後の問い合わせに速やかに回答すること
で早期給付を目指すべきということでしょう。










02/07/27 配偶者居住権
先日公表された相続税の措置法関係通達改正で、配偶者
居住権に関する小規模宅地特例の取扱いが示されました。
配偶者居住権に基づく敷地利用権や敷居所有権に同特例
を適用する際に、特定居住用宅地等対象となる面積を計算
する際の一定の算式やそれに基づく限度面積要件等が示
されました。
そのほか、例えば配偶者居住権が設定されている建物等の
敷地を贈与で取得した際の個人版事業承継税制の適用関
係の取扱い等が設けられました。
合わせて「配偶者居住権の評価に関する質疑応答事例」も
公表されたので、そちらの内容もこれから解読してまた説明
したいと思います。
税理士業界では、配偶者居住権をうまく使うことで相続税の
節税を図る動きが顕著なので、ということはその評価方法等
を正しく理解することが重要と考えます。










02/06/22 家賃支援給付金
持続化給付金に続く助成として期待が高いのが家賃
支援給付金です
現時点で予算は成立していますが、各種マスコミ発表
等によると制度設計に手間取っているため、当初は6
月末受付開始と言われていましたが7月にずれ込むよ
うです
現状経済産業省が概略として発表している内容は

・5~12月の売上が前年同月比半減等が要件
・家賃の1/3から2/3を月額100万(個人事業者は50万)
を限度に6か月分給付

という程度です
ここ2、3日のマスコミ報道によれば、制度設計が遅れて
いるのは持続化給付金の申請資料に加えて、賃貸借契
約書や家賃を支払ったことを示す証憑等追加的に資料
が必要となるためだとのことです
また自民党の部会で、上記給付に際しては6か月分を
まとめて給付すべきとの提言がまとめられたとのことで

いずれにしても制度設計の詳細がどのようなものにな
るか注視しておく必要があるかと思います










02/06/15 各種給付金等の課税関係
新型コロナウイルスの蔓延という未曽有の事態の中、様々な
経済対策が決定されてきています
特に経済対策として色々な形での給付金等が支給され始め
ました
そうなるとその課税関係が気になるところですが、現時点での
主なものについては以下の通りです

・特別定額給付金(=ひとり10万円)→これは非課税です。なぜ
なら非課税の旨、法律で規定されているからです

・感染防止協力金(=東京都)→都は国に非課税を要望したよ
うですが、法的な手当はなされず、したがって課税されます

・持続化給付金→課税です。経産省のFAQを見ると、もともと
売上等の激減を前提にしているので、結果として課税されない
であろうとの想定のようです

・家賃支援給付金→これから詳細が明らかになるかと思いま
すが、恐らく上記持続化給付金同様課税となると思われます

上記給付金等以外でもコロナ対策として、納税猶予特例や
様々な制度融資等も創設されています
またこれら様々な制度が日々刻刻変わってくるので、諸制度
にキャッチアップする努力を怠らないようにしたいと思います










02/04/03 緊急経済対策における税制上の措置(案)等

テレビのニュースでは税制改正大綱を決定と報じられていましたが、
今回の新型コロナウイルスへの経済対策のひとつとして、様々な税
制上の措置が採られるようです。
主なものとしては

・法人税等の納税猶予
・中小企業の在宅勤務設備投資に係る投資減税
・消費税の課税事業者選択の申請期限の延長
・中堅企業への欠損金繰戻還付の適用
・中止イベント参加費の払戻しを受けない場合の寄附金控除適用

等々があるようです。
詳細はこれからですが以下のような注意点が想定されます。

・納税猶予については特にこれから作業が始まる3月決算5月申告
の多くの企業について、個別の資金繰り状況等を十分把握して必
要性の有無を検討する
・テレワーク設備投資への減税については、一部報道によれば即
時償却だけでなく税額控除もあるとのことなので、対象の有無につ
いて十分確認する必要がある
・消費税については、売上の急減により課税事業者を選択した方
が有利になる免税事業者が想定されるということを念頭に置く必要
がある

また新聞報道等によれば、大企業関連として、この3月期決算にお
いて、店舗・工場等の減損損失計上については柔軟に対応すると
の特例的取り扱いがなされるようです。

現在の社会状況だけではなく、税制面でも未体験の領域に入って
います。今後の自民党、財務省、国税庁等の動向には十分注意し
ながら仕事を進めていくことが必須です。










02/03/17 申告所得税等確定申告期限の延長

予期せぬ新型コロナウイルス騒ぎのため、令和元年分の
所得税等申告期限が当初の3/16(月)から4/16(木)に1か
月延長されました。
これは国税通則法施行令3条2項に基づくもので、2月27日
に発表されました。
この2月27日の時点では、その他の届出書等の提出期限
がどうなるか、あるいは振替納税はいつになるか、等は不 明でした。
その後順次発表された内容により、更正の請求の期限や
財産債務調書等の提出期限も4月16日まで延長となった
ことが確認されました。
また振替納税も申告所得税が5月15日(金)(当初は4月
21日)、消費税が5月19日(火)(当初は4月23日)となりま
した。
私の30年近い税理士実務においてもこのような延長とい
うのは初めての経験です。
東日本大震災の時でも地域を限ってのものでした。
法人税についても個別の申請により申告期限が延長可
能な場合もある、あるいは納税猶予を受けられる場合が
ある、等々税務雑誌でも取り沙汰されています。
今後の国税庁からの発表等に十分注意を払いたいと思
います。










02/01/21 令和2年度税制改正の意図

昨日財務省主税局長の話を聞いてきました。
中心は令和2年度税制改正の意図についてでした。
改正の当事者として主税局長は「かろうじて及第点」との
認識でした。
そう評価する理由としては、税収中立の内容だからのよ
うです。
例えば法人税単独でも税収中立で、オープンイノべーショ
ンに係る措置(減税)は巨大企業向け交際費課税の強化
(増税)と、5G導入促進税制(減税)は給与等引上げ及び
設備投資等税額控除制度における国内設備投資額の要
件強化(増税)と、それぞれ見合っているようです。
また5G促進税制の税額控除15%というのはやはり異例
で、過去沖縄と東日本大震災でしか適用がない控除率で
あるとのことです。
もうひとつ印象的だったのは税制の国際的調和を意識
しないとうまくないという点です。
日本だけ厳しい税制にすると事業者が日本を出てしまう、
一方日本だけ緩いと租税回避的な動きが起きてしまう、
したがって調和が必要とのことです。
具体的には、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を
組み合わせた租税回避への対応、軽量な葉巻たばこに
ついてのたばこ税の見直し、をあげていました。
後者のたばこ税の話は、恥ずかしながら全く認識してい
ませんでした。
今後の法案、政省令等改正の具体的内容について十分
注意を払いたいと思います。










01/12/10 消費税の会計処理等

先月、国税庁から「事業者の皆様へ(~区分経理から消費税
申告書の作成まで~)」という資料が発表されました
その中で再度確認というか認識しておく必要がある事項につ
いて以下記載します
まず売手と買手とで計上基準が異なる場合の適用税率につ
いてです
これは消費税の仕組み、すなわち多段階累積控除に基づき
考えれば前段階である売手の基準が優先します
したがって買手側で適用税率が明らかでない場合は相手方
である売手に確認することが必須となります
次に受領した請求書等への追記の問題です
軽減税率の対象である旨、税率ごとに区分して合計した税込
対価の額等は追記が認められていますが、取引内容の追記
は認められません
したがって、例えば領収書を受領する場合、但書きが空欄や
「品代」では区分経理の要件を満たさないことになるので注意
が必要です
最後に即時充当の処理です
例えばコンビニでキャッシュレスで買い物をした場合、2%の
還元が受けられます
税抜100円の文具を購入した場合、税込110円から2円が差し
引かれます
その際に仕訳は

事務用品費 100 // 現預金 108
仮払消費税  10 // 雑収入  2(不課税)

となりますので面倒でかつ要注意です










01/11/11 令和2年度税制改正の内容は?

例年通りのスケジュールであれば税制改正大綱の発表まで
およそ1か月という時期になりました。
それに伴い全国紙、税務雑誌等各種メディアで税制改正大
綱の検討状況が報道されつつあります。
複数のメディアで取り上げられていて、改正の可能性が確か
にありそうだなと感じる項目としては以下のようなものがあり
ます。

・外国子会社からの配当に関する益金不算入と、当該外国
子会社株式の譲渡損との2重計上を防止する

・海外中古建物を利用した節税スキームの防止(短い耐用
年数を認めないのではなく、海外中古建物に係る減価償却
費の経費計上そのものを認めない方向か?)

・富裕層の国外財産に関する情報開示を促す制度の創設
(情報不提出に対する経済的ディスインセンティブの付与?)

例えば最後の項目は、今年9月に政府税調から発表された
「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」
の中で次のように触れられています。すなわち「特に国外に
おいて行われた取引等に係る情報については、執行管轄権
の制約上、税務当局が直接現地に赴いて事実関係を確認
することが困難であることから、納税者に一定の説明責任を
求めるなど、適正な情報開示を促すための仕組み等につい
て検討する必要がある」とのことです。

税制改正大綱発表まで各種情報を注視していきたいと思い
ます。










01/10/18 ポイント還元制度

今月1日から消費税率(原則)が10%となり、それに伴い期間
限定でポイント還元制度が始まっています。
大手コンビニ各社は、「即時充当」と呼ばれる方式により購入
者にポイントを還元しています。
消費者の立場ではもらえるポイントはもらうということで特に問
題ないのですが、事業者の立場からは仕入税額控除の適用に
関して疑義が生じます。
というのは、この即時充当は値引きではなく、したがってレシート
記載の税込価額がそのまま仕入税額控除の対象になるという
のです。
今週のある税務雑誌に下記のような仕訳がありました。

福利厚生費     100    / 現金(電子マネー等) 106
仮払消費税(8%)   8    / 雑収入(不課税)     2

上記を見てまた疑問が湧いてきました。すなわち法人を想定
した場合、例えば法人のスイカがあればそのスイカに紐づいて
還元されるポイントを法人の収入として計上しろというのはわか
らなくはありません。
しかし個人のスイカで法人の事業の用に供する物品を購入し
た場合、上記で言えば個人が法人に請求できるのは106でな
いかと思われます。
そうなると個人が受領するポイントの2はどうなるのでしょうか?
ある同業者に尋ねたところ給与課税という説があるとのことで
した。一方消費税の権威と言われる税理士に会う機会があった
ので質問したところ、取り扱いは未定でこれからポイントに関す
るQ&Aが国税庁から出るのではないか、とのことでした。
いずれにしましても間もなく税理士として会計処理に直面する
今回の消費税、常に問題意識を持ちかつそれを順次解決する
という気持ちで臨みたいと思います。










01/09/06 消費増税に向けて

残り1か月を切った中、納税者として何をすべきか、また税理士と
して何をお願いすべきかを考えました。
新聞紙上等では軽減税率の問題、例えばコンビニでのイートイン
をどう考えるか、あるいは外食各社の値付けの問題、さらには直
接は消費税の問題ではありませんがポイント還元について、等々
が議論されています。
事業者と向き合う税理士としてどう考えるべきか、広く捉えれば

①区分記載請求書作成への準備
②値付けをどうすべきか
③レジ対応

が問題になるかと思います。
ここで①は普遍的問題ですが、②と③は軽減税率対象となる
食品を販売する事業者にほぼ限定されそうです。
私自身お客様に食品を販売している方がいないので、正直②と
③はあまり意識していません。
考えているのは

1)会計及び売上仕入管理のシステム更新
2)経費サイドで時々登場してくるであろう軽減税率対象の正確な
把握方法

です。
まず1)は会計ソフトにしても販売管理ソフトにしても新税率に対応
した最新の状態の維持、例えば保守に加入していないような場合
は大至急加入してソフトを更新するということでかなりの部分は解
決しそうです。
2)は会社ごとの事務処理状況に依存するので一概には言えない
のですが、気を付けるべきは10%と8%の内訳を正確に把握する
ことを意識する点だと考えます。
例えば、コンビニで消しゴムと来客用ペットボトルのお茶を合わせ
て購入した場合、いわゆる領収書で金額が一本になってしまうと
区分して把握できません。
レシートであれば税率ごとの内訳が表示されますので、従来よりも
レシートの重要性が増す気がします。
記帳というと少し古臭い言い方かもしれませんが、従来は上記例
でもコンビニ名を摘要に一行表示できましたが、今後は内容を記
載しつつ二行での表示が欠かせません。
細かな点ではありますが、このようなことを10月1日以降意識して
頂ければと思います。










01/08/02 民法改正と事業承継税制

昨日の午後、国税OB税理士の方のセミナーを受講しました。
1000ページを超える書籍をテキストに、特例事業承継税制の
盲点と個人版事業承継税制の概略について説明がありまし
た。
事業承継税制に関しては、様々なセミナー等を受講し、また
書籍も読んできたつもりでしたがまだまだ理解が足りないこと
を痛感しました。
まず各種解説の書籍に目を通す前に、7/3に出た税制改正の
解説と、7/8に出た改正措置法通達等を理解する必要がある
と暗に指摘されました。
自分の意識の及んでいない様々な論点の説明を受けました
が、例えば新旧民法と事業承継税制との関係です。
従来の遺留分減殺請求に伴う株式の現物返還は譲渡を認識
しないと思われるのに対して、この7/1施行の遺留分侵害額の
請求では代物弁済に該当、すなわち譲渡となり事業承継税制
上、全部確定事由になるというのです。
確かに新設された所得税基本通達33-1の6(遺留分侵害額の
請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)では、「そ
の履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資
産を譲渡したこととなる」とあります。
また同通達38-7の2(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払
に代えて移転を受けた資産の取得費)には、「その履行により
消滅した債権の額に相当する価額により当該資産を取得した
こととなる」とあります。
引き続き理解を深めるべく努力したいと思います。










01/07/09 太陽光発電設備

お客さんが本社建物を新築し、その屋根に太陽光発電設備を
設置したため、その会計処理や耐用年数等について問い合わ
せを受けました。
初めて具体的案件に遭遇し調べてみたところ、知らない取り扱
いに驚きました。
まず建物の屋根や屋上に設置される太陽光発電設備は、通常
の場合建物付属設備ではなく機械装置に該当します(耐用年数
通達1-4-5)。
次に耐用年数が問題となりますが、これは「当該設備に係る製
品のうち最終的な製品に基づき判定する。なお、最終製品に係
る設備が産業用設備のいずれに該当するかの判定は、原則と
して、日本標準産業分類の分類によること」とされています(耐用
年数通達1-4-3)。
したがって、簡単に言えば上記のような本社建物屋上に設置さ
れた場合の耐用年数は、お客さんの業種次第ということになりま
す。
要注意だなと感じた次第です。










01/05/23 印紙税について

以前にも聞いていた話ですが、今回明確に意識して
理解した内容です。
日常よく目にする宅配便の伝票ですが、税法的には
運送契約となり、印紙税法上は第1号の4文書(運送
に関する契約書)に該当します。
上記1号の4を見ると、運送に関する契約書には、用
船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び運送
状は含まれず、例として運送契約書、貨物運送引受
書など、となっています。
契約金額に応じて印紙税が課されるわけですが、契
約金額の記載のないものは200円、記載された契約
金額が1万円未満のものは非課税とされています。
確かにヤマトの伝票を見ると「運送料1万円未満」、
佐川には「運賃1万円未満」と印刷されています。
もし上記印刷がなければ伝票1枚につき200円の印紙
税となり、会社全体で集計したら莫大な金額になるで
あろうことは容易に想像されます。
実務家として今後も幅広い知識を身に付けていかな
ければならないということを痛感させられる事例です。










31/04/22 固定資産課税台帳記載事項証明書

いわゆる固定資産税評価額の評価証明のことです。
税法が許容する社宅家賃の自己負担額を通達により
計算する場合、上記評価額が必要となります。
従前は賃借人は借りている不動産について上記評価
証明を取得することができませんでした。
しかし現在の地方税法(382条の3)では、地方税法施行
令52条の15にあるように「土地について賃借権その他
の使用又は収益を目的とする権利を有する者」も証明
書の交付を受けられるとなっています。
したがって借上社宅の場合、保守的に賃料の半額を
自己負担とするのではなく、評価証明を取得して通達
により計算してみることも必要と考えます。
この先の議論として、上記で言うところの評価額とは証
明書上のどの金額を指すのか、というものがあります。
手許にある武蔵野市長名の証明書(31年4月発行のも
の)には「評価額」、「固定資産税課税標準額」、「都市
計画税課税標準額」の3種類の金額があります。
評価額は103百万円、固定資産税課税標準額は17百
万円と6倍ほどの乖離があります。
国税庁HPではこれら3種類のうち、評価額を用いると
明記されています。
一方国税OBが大蔵財務協会から出している書籍上
で、固定資産税課税標準額でいいと書いているもの
もあります。
この辺り国税庁HP通りにしておけば問題ないのは当
然なので、これと異なる見解についてもう少し調べて
みたいと思っています。










31/03/25 医療費控除

既に確定申告は終わりましたが、その過程で相談を
受けた事例です。
それは「スポーツクラブの会費は医療費控除の対象
になるか」というものです。
その相談者は、ネットで調べて対象になる場合があり
そうだったので、東京国税局管内のある税務署に電
話で問合せたところ、対象にはならないと言われたそ
うです。
結論としては、一定の要件のもと対象になる、というも
のです。
ただ要件は厳しく

①医師による運動療法処方箋
②おおむね週1回以上の頻度で8週間以上に渡って
運動を継続
③上記運動は厚労省指定の「指定運動療法施設」
において実施
④医師作成による「運動療法実施証明書」及び上記
運動施設の領収証の提示、提出

が必要です。
厚労省のHPを見るとわかりますが、指定運動療法
施設は全国で200強程度ですので、実際に上記によ
り医療費控除を受けられるケースはそれほど多くは
ないと思われます。










31/02/25 全損保険への規制

最近の生命保険業界でのヒット商品で経済雑誌等
でも取り上げられていた、法人向けの全損保険に
対して規制が入る方向のようです。
当初は外資系のみでしたが、その後外資系とは異
なる商品性で国内大手が解約返戻率を上げたため、
いわゆる決算対策商品としてヒットしていたようです。
しかし定期保険という掛け捨てでありながら、ピーク
における解約返戻率が80%を超える点を国税庁等
が問題視したと言われています。
また、法人税個別通達を逆手に取るような点も指摘
されていたところです。
既に国内大手は販売を休止しているようで、外資系
も間もなく販売休止と報道されています。
損害保険会社出身の私としては、国内大手の商品
は保険として問題があるというかトラブルが起きやす
いとかねてから考えていました。
すなわち保険期間の前半では災害死亡でないと保
険金が出ないタイプなのです。
しかし社長死亡時には保険加入手続をした本人は
いないのですから、よほど確認手続きを厳格に実施
しないとトラブルになる可能性が高いと思われます。
この点からも規制はやむを得ない面もある気がして
います。
いずれにしても法人名義の保険に係る通達全般が
改正される可能性があるとも言われているため、こ
れからの年度末に向け、今後の動向に細心の注意
を払う必要があると考えます。










31/01/22 平成31年度税制改正の中身について

昨日財務省主税局長及び総務省自治税務局長の
話を聞きました。
昨年12月14日に税制改正大綱が発表されて以来、
様々な資料を読みまた各種セミナーに参加してき
ましたが、そこで知った内容と大きく異なるものは
特にありませんでした。
ただ課税当局のスタンスを含む今後注意すべきと
思われる点もいくつかありました。その内容は以下
の通りです。

・財務省にとっても最重要課題は10月からの消費
税率アップであり、その円滑な実施のためのQ&A
等は今後も随時発信される見込みである

・特に軽減税率の判定等に関する実務上の課題
については、寄せられた疑問点等を踏まえ回答を
出していくとのことである

・税制改正大綱の内容にも、住宅ローン控除の拡
充、金地金密輸対応、臨時販売所制度の創設等
消費税対応のものが多く含まれているので注意が
必要である

・個人事業者の事業承継税制の創設は、内容へ
の疑問点が多々あるので法案を確認することが
必須と思われる

・ネット上でのCtoC取引の捕捉が不十分なので
今回の情報照会の仕組みも含め、今後適正に
対応する必要がある

私としても引続き情報収集に努め、法案に即時
対応できる体制を作っておきたいと思っています










30/12/18 平成31年度税制改正大綱

去る12/14(金)に与党税制改正大綱が発表されました。
31年10月1日から実施される消費税率引上げへの対応
がもっぱら焦点となりましたが、実務に携わる者の視点
からは下記に注目したいと思っています。

・個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
→いわゆる個人版事業承継税制ですが、個人事業者の
実情、すなわち現行のビジネスモデルが立ちいかないの
が問題である、という観点からはニーズは低い気がします

・ふるさと納税の見直し
→総務省の指導に従う都道府県等のみが31年6月1日
以降その対象となります

・事業承継税制の要件緩和
→資産保有型会社等に該当しても、6か月以内にもとに
戻れば納税猶予取消事由に該当しません

・民法改正に伴う措置
→配偶者居住権の評価方法が定められましたが、もう
少し詳細に定めてくれないと実務的には対応できないと
思われます

・法人所有仮想通貨
→時価法の採用、すなわち期末に所有する仮想通貨で
活発な市場が存在するものについては、評価損益を計上
することとされました

・情報照会手続の整備
→どのような運営がなされるのか今後注目されます

消費税率のアップだけでも大きなトピックですが、これ
に加え各種税制改正がなされました。
今後の研究が必須と思われます。情報収集に努め理解
を深めたいと考えます。










30/11/12 軽減税率制度への疑問

去る11月8日に国税庁から「消費税の軽減税率制度に
関するQ&A(個別事例編)」が公表されました。
まだ全てを読みこなして理解してはいませんが、いくつ
かを読んだだけでも大きな疑問を感じています。
例えば以前から問題とされてきたコンビニのイートイン
スペースについてです。
上記Q&Aの問45にその記述があります。すなわち、
弁当等は店内飲食か否かを意思確認し軽減税率対象
かを判定する、しかし店内飲食の場合は申し出て下さい
をいう掲示による意思確認も差支えない、とされています。
これを読んだだけで執行上の問題を国税庁はどう考え
ているのか、という大きな疑問が湧いてきます。
諸外国の例でもよく言われていたのが、テイクアウトと
伝えて購入した物をイートインコーナーで食べるという
話です。
上記国税庁の問45にあるように、店内飲食の場合は
申し出て下さいと掲示し、申し出ないまま店内飲食を
する人にどう対応すればいいのでしょうか。
問46や問47でもスーパー等の事例が取上げられ、ただ
最終的には意思確認しろとあります。そうなると諸外国
と同じ問題、すなわち持ち帰りと伝えて購入した人が店
内飲食した場合にどう対応すべきかが不明です。
これではQ&Aに対するQ&Aが必要な状況であり、よ
り現実的なというか現場が疑問を持たずに理解できる
ような実践的Q&Aが待たれます。










30/10/17 消費税率アップへの準備

平成31年10月1日に予定されている消費税率の8%
から10%へのアップ及びそれに伴う軽減税率制度の
導入について、去る10月15日の臨時閣議で万全の
対策を取り法律通り実施する意志が示されました。
そうなると実務家としては上記を前提に再度新たな
制度の内容を確認し、お客様に正しい指導を進めて
いく必要があります。
主な確認事項としては以下のような内容が想定され
ます。

・予約販売に関する経過措置
・区分記載請求書等保存方式
・工事の請負等に関する経過措置
・31年10月1日を跨ぐような売上仕入の処理
・売上税額の特例
・仕入税額の特例

なお問題の軽減税率ですが、これは準備が必要な
事業者とそうでない事業者が明確に分かれると思わ
れますので、食品関係の販売がある場合は至急準
備に入る必要があるでしょう。
また少し先の話ではありますが

・適格請求書発行事業者の登録
・免税事業者への対応

についても念頭に置いておく必要があると思われます。
いずれにしても予定通りを前提に準備を加速させる必
要がありそうです。









30/09/20 平成31年度税制改正に向けて

昨日財務省主税局長の話を聞く機会がありました。
この時期なので平成30年度税制改正の内容を踏ま
えた上での31年度改正の話になりました。
当然ではありますが、まず最大の眼目は31年10月
からの消費税率アップ及び軽減税率導入です。
前回の税率アップ時の反省から、駆け込み・反動減
対策及び耐久消費財対策をこれから講じたいとの
ことでした。
また軽減税率がスムーズに導入できるよう周知等
の方法を工夫していくそうです。
所得税についての問題意識は私にとっては意外の
ものでした。
それは遺族年金非課税の見直し検討及び老後への
備えをサポートする年金税制と退職一時金税制との
整合性確保の検討です。
加えて納税環境整備という題目も挙げていました。
内容はコスト削減のための電子申告推進と、いわゆ
るシェアリングエコノミーと言われるものをどう捕捉し
ていくか、というものです。
既に各省庁からの税制改正要望も出揃っています
ので、これから年末にかけての議論を注視していき
たいと思います。









30/09/04 軽減税率制度

来年10月1日からのいわゆる消費税増税、すなわち
消費税率の8%から10%への変更に合わせて、軽減
税率制度が導入されます。
国も税率アップよりもこの軽減税率制度の導入を主
としてPRしている感じです。
実務家として考えた場合、売上及び経費ではない仕入
(売上原価)の中に軽減税率対象がある事業者は早急
な準備、対策が必須です。
そうではない、すなわち本業が飲食料品や新聞と関係
がない事業者は、それほど慌てる必要はないかと思い
ます。
それでも従前の5%から8%への税率アップ時にも経験
しましたが、複数税率混在時には会計処理が複雑にな
るというか、ミスが起きやすくなります。
消費税法上、仕入税額控除を受ける要件として一定の
レベルの帳簿記載が必要となりますので、来年10月以降
の複数税率下での帳簿記載をどのように効率的に進め
ていくかを、今から考えておいて損はないと思います。









30/08/07 収益認識に関する会計基準等と消費税

平成30年3月、企業会計基準委員会から「収益認識
に関する会計基準」と「収益認識に関する会計基準
の適用指針」が公表された。
これに対応して法人税法は、平成30年度税制改正
において、資産の販売等に係る収益の計上時期及
び計上額を明確化する22条の2の創設その他の改
正を行った。
また、法人税基本通達は、収益の計上単位、計上
時期及び計上額について、「履行義務」という新たな
概念を用いる形で見直しを行うとともに、法人税法の
改正に伴う取扱いの整理を行っている。
ここで問題となるのが消費税の取扱いである。すな
わち、消費税においては会計基準・法人税とは切り
離して判断しなければならないのである。
なぜなら、消費税においては、資産の譲渡等は取引
の相手方に対する財やサービスの提供と、それに伴
う対価の獲得という事実が発生した時に認識するた
め、「収益認識に関する会計基準」による収益の認
識とは切り離して判断しなければならない。
この点を通常の実務で考えてみると、会計処理すな
わち仕訳の累積で算定された利益をもとに、会計と
法人税との差異を申告書上で調整することがそもそ
も予定されている。
しかし消費税の計算は、基本的に会計の結果に合
わせて行われていると思われる。そのため、消費税
の申告書も会計と税との差異を調整するような書式
になっていない。
そうなると会計と異なる消費税計算を極力手間を掛
けずにどう行うのか、実務上の研究が必要となろう。









30/06/25 電子申告の義務化

平成30年度税制改正により、「電子情報処理組織に
よる申告の特例」が創設され、一定の法人が行う法
人税等の申告は電子申告により提出しなければなら
ないこととされました。その概要は以下の通りです。

・対象税目~法人税及び地方法人税並びに消費税及
び地方消費税(なお、地方税の法人住民税及び法人
事業税についても電子申告が義務化されます。)

・対象書類~申告書及び申告書に添付すべきものと
されている書類の全て

・対象法人の範囲~①内国法人のうち、事業年度開
始の時において資本金の額等が1億円を超える法人、
②相互会社、投資法人及び特定目的会社(なお、消
費税及び地方消費税の場合は上記法人に加え、国・
地方公共団体)

・対象手続~確定申告書、中間(予定)申告書、仮
決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書

・適用日~平成32年(2020年)4月1日以後に開始
する事業年度(課税期間)から適用


また、電子申告義務化とともに、法人税等に係る
申告データを円滑に電子提出できるように環境整備
を進めることとされており、以下のような施策を順
次実施していくこととしています。

・提出情報のスリム化~勘定科目内訳明細書の記載
内容の簡素化、イメージデータ(PDF形式)で送
信された添付書類の紙原本の保存不要化

・データ形式の柔軟化~法人税申告書別表・財務諸
表・勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化

・提出方法の拡充~電子申告の送信容量の拡大、添
付書類等の提出方法の拡充(光ディスク等による提出)

・提出先の一元化~国・地方当局間の情報連携を通
じた財務諸表の提出先の一元化、連結法人に係る個
別帰属額等の届出書の提出先の一元化

・認証手続の簡便化~法人の認証手続の簡便化


なお、電子申告義務化に伴い注意すべき点としては
以下のようなものがあります。

・電子申告義務化の対象法人となった場合、所轄税
務署長に対して義務化対象法人である旨の届出書を
提出する必要があります。

・電子申告義務化の対象となる法人が、電子申告に
より法定申告期限までに申告書を提出せず、書面に
より提出した場合、その申告書は無効なものとして
取り扱われることとなり、無申告加算税の対象とな
ります。

・災害その他の理由によって、電子申告により法定
申告期限までに申告書を提出することが困難な場合
には、所轄税務署長の承認を得た上で、書面により
申告書を提出することで、例外的に申告義務が履行
されたものとみなされ、その書面による申告書は有
効なものとして取り扱われます。なお、所轄税務署
長の承認を得るためには、事前に申請書を提出する
必要があります。









30/06/01 法人事業概況説明書

3月決算5月申告が何とか終わり少し余裕を取り
戻した感じです。
国税庁から法人事業概況説明書の新たな様式
が公表されました。
これは30年4月1日以後終了事業年度分から使う
もので、ということは通常は4月決算6月申告から
使用ということかと思います。
気付いた変更点としては

・納税地欄が廃止され法人番号欄が新たに追加
・自社ホームページの有無の欄が追加
・電子計算機の利用状況欄がPCの利用状況に
替わり、メールソフト名の記載やデータの保存先
(クラウド、外部記録媒体、PCサーバ)の記載が
追加
・社内監査の欄が追加
・消費税の欄の記載簡略化
・主要科目(PL)の内、支払利息割引料の削除と
特別利益、特別損失の追加

等々です。
時代の流れに合わせた変更かなという印象です。
私たち税理士としてもお客様の事務処理状況を
常時確認しておくことが必要だということでしょう。









30/05/28 事業承継マニュアル

去る5/16に中小企業庁はHP上で事業承継マニュアル
(「特例承継計画に関する指導及び助言を行う機関に
おける事務について」)を公表しました。
本文9ページ、記載例9ページのマニュアルと呼ぶには
頼りないものですが、参考になる点がいくつかあります。

・特例後継者として計画に氏名の記載がないと、特例
を受けることはできず、特例後継者を変更する場合は
変更申請書による手続きが必要

・特例後継者が事業承継税制の適用を受けた後は、
当該特例後継者を変更することはできない

・記載例を見る限りでは経営革新等支援機関として
税理士が記載しなければならない指導、助言の内容
はそれほど詳細に渡るものでなくても大丈夫な模様

まだまだ実務の蓄積が不十分で、かつ当局からの情報
も今回のように途中経過のような感じなので、今後の情
報に注意を払いつつ、各実務家における研究が俟たれ
るところです。









30/04/20 平成30年度税制改正⑧

電子申告義務化に関して「よくある質問」が国税庁
から公表されました。
私の感覚で注意しておくべき事項としては下記が
あります。

・平成32年度4月1日以降開始事業年度から義務化
・税目は法人税と消費税
・確定申告だけでなく中間申告、修正申告も含む
・資本金1億超は事業年度開始時点で判断
・投資法人、特定目的会社は義務化対象
・税務署等からの通知はなく、一方届出書の提出が
必要
・申告書本体だけではなく内訳書も対象
・添付書類等はPDFで可

今後更に実務的な点が解明されていくと思われます
ので、各種情報に注意が必要でしょう。









30/03/15 平成30年度税制改正⑦

確定申告等あり更新が遅れました。
平成30年度税制改正の目玉、新事業承継税制
について少しずつその内容がわかってきました。
私自身が最大の問題だと考えていた点、すなわ
ち従来の税制を適用した人との均衡をどうとるの
かについても徐々に判明しつつあります。
原則として旧法適用者には新事業承継税制での
申請を認めない、という取扱いになるようです。
つまり旧法との均衡への配慮はしないということ
かと思います。
推測するに、既に事業承継を進めている会社の
ことは気にしないで、有利だが期限が切られた
新たな制度を作ることにより、一気に事業承継を
進めてしまいたいという政府の意図でしょう。
ただそもそもの問題として、新税制により事業承
継を進めたとしても、更にその次の代替わりの際
に現時点での新税制が期限切れだとしたら、そこ
でまた問題が起こります。
ということは、新税制だけを考慮して事業承継対
策を考えるのではなく、もっと長い目で見る必要
があるということでしょう。
新税制が有利なので個人資産を法人に移す動き
がでるのでは、という話をしている税理士もいる
ようですが、更にその次を考慮して有利不利を判
断する必要があるかと思います。
いずれにしても近視眼的思考は禁物です。









30/01/25 平成30年度税制改正⑥

一昨日平成30年度税制改正での事業承継税制の
拡充について、大手税理士法人社員及び弁護士
(経済産業省で平成29年度税制改正での事業承継
税制部分を担当)の方の話を聞きました。
大綱を読み、その後各種資料を見て、また色々な
セミナーを受講した結果、疑問に感じていた点につ
いてもある程度説明がありました。
最大の疑問点、すなわち「現行税制に係る贈与税
の納税猶予の適用を受け、その後の相続税につい
て、新税制に係る相続税の納税猶予制度に切り替
えることができるのか」という問い、すなわち既に現
行税制を適用した者に対する救済経過措置はある
か、という話ですが、「難しい」との回答でした。
その大手税理士法人の社員の方は、今後既に実行
した方から苦情が来ることは覚悟しているとのこと
でした。
また新税制全般の話として

・特例承継期間をどう定義するか
・複数贈与者及び複数後継者を認めることから生じ
る様々な問題
・前提となる特例承継計画の事後的変更の問題

等々およその方向性は推測できても、詳細は条文を
確認する必要がある点も多々あるということを再認識
しました。
法案が出たらきちんと確認したいと思います。









30/01/10 平成30年度税制改正⑤

昨年12月14日の与党大綱発表後、12月22日の閣議
決定、その後の各省庁等からの説明資料発表もある
中、いくつかのセミナーを受講し、また各種税務雑誌
等の記事も見てきました。
上記を踏まえた上で法案を見ていない中、疑問に感じ
ている点を以下記載してみます。

・事業承継税制は現行制度の特例が時限的に創設
されますが、現行制度を既に適用した納税者との均
衡を著しく欠くように思えます。
大綱を見る限りではこれに対する手当は特に想定さ
れていないようですが、それでいいのか疑問です。

・一般社団法人による租税回避スキームへの防止
規定が手当されました。
しかし法人の財産であるにもかかわらず、個人の財
産同様相続税を課税するという極めてわかりにくい
形になっています。
今後の条文等の確認が必須と思われます。

・青色申告特別控除65万の10万減額への対応とし
て、電子申告への取組が不可避となりました。
大法人のe-Tax義務化も含め、電子申告への誘導
策が強化されています。
これも時代の流れということでしょうか。

・基礎控除の増額、給与所得控除の減額、給与所
得控除の上限適用対象及び上限額の引下げ、所得
金額調整控除の創設、公的年金等控除の減額及び
上限設定、高額所得者への基礎控除不適用、等々
各種控除の適用の条件が極めて複雑になりました。
これを手計算でやったらミスをする可能性はかなり
高いと思われます。
税制に求められる必須要件としての「簡素」はどこか
に消えてしまったのでしょうか。









29/11/24 平成30年度税制改正④

自民党税制調査会での議論開始に伴い、様々な
ルートから多くの情報が入ってくるようになりました。
そもそも税制改正大綱がいつ発表されるかですが、
各種新聞は12/14となっているようですが、12/11と
いう情報もあります。
所得税関連では以下のような議論があるようです。

・高所得者への基礎控除不適用
・基礎控除の増額
・給与所得控除の上限引下げ
・高所得者への公的年金等控除の縮小

企業向けでは以下のような議論があるようです。

・賃上げに伴う減税の拡大
・事業承継税制の時限的拡充

その他では以下のような議論があるようです。

・出国税(観光促進税)の創設
・森林環境税の創設
・加熱式たばこへの増税

ただそれぞれに関して公平性等の観点からの
問題点もあり、財務省としては適用要件に制限
を課すことも想定しているようで、実務家としては
必要以上に複雑でわかりにくくなってしまうことを
危惧しています。
いずれにしてもこれからの約3週間、議論の過程
に要注目です。









29/11/02 電子申告の今後

最近の政府税調では、経済社会のICT化の進展に伴う
税務手続の電子化が議論されています。
具体的には現在の電子申告等をより使いやすいものに
進化させようということのようです。
想定されている具体的内容としては

・スマホによる電子申告の実現
・マイナンバーカードなしでe-Taxを利用可能にする
・医療費控除の申告における医療費通知データの活用
・年末調整手続がオンラインで完結する仕組みを整備
・大法人の法人税等電子申告を義務化

等が挙げられています。
納税者の利便性が向上することは、税理士にとっても
恩恵ですので是非進めて頂きたいところです。
ただセキュリティの問題、あるいはそもそも行政機関間
のデータ連携がない等その前に解決すべき問題も多々
ある気がします。
今後の議論の推移に注意したいと思います。









29/10/13 平成30年度税制改正③

選挙に突入してしまった影響があるのか、平成
30年度税制改正についての大きな情報が出て
きていない気がします
そのような中、国際課税の分野で改正があるか
もしれないという情報です
まずPEの定義規定の見直しです
これは外国法人の日本PEだけではなく内国法人
の国外PEもその対象のようで、影響がありそうな
大企業はその行方に要注意でしょう
もうひとつは外国子会社合算税制です
経済産業省の税制改正要望の中に「外国子会社
合算税制における外国関係会社が保有する株式
に係る譲渡益の取扱い等の見直しを行う」とあり、
これに沿ってペーパーカンパニーに生じる譲渡益
を合算対象外がすることが検討されている模様です
丁度今日トヨタの海外への支払で源泉の控除漏れ
を指摘されたとのニュースがありました
国際課税の分野は要注意です
10/16(月)に政府税調の開催が予定されているよ
うなので、引き続き各種情報に注意していきたい
と思います









29/09/13 平成30年度税制改正②

今日財務省主税局長の話を聞く機会がありました。
この時期ですので主たる話題は平成30年度税制改正に
ついてです。
時間的な制約もあり法人税については大きな話は特に
ありませんでした。
主として取り上げられたのは所得税についてです。
改正の見通しというより財務省の希望、意向かもしれま
せんが

・給与所得控除の見直し
・公的年金等控除の見直し
・退職所得への課税見直し

の3つを挙げていました。
給与所得控除については諸外国と比べても大きい、
公的年金等控除については年金以外に所得が十分
ある人については控除の縮減も考えられる、現状の
退職所得への課税は終身雇用を前提にしたもので
時代に取り残されている、とのコメントでした。
また方向性は不明ですが問題意識として、シェアリン
グエコノミーやクラウドソーシングに対して課税当局
として対応を検討する必要があるとのことでした。
引き続き平成30年度税制改正の動向を注視してい
きたいと思います。









29/09/04 平成30年度税制改正①

各省庁からの税制改正要望が出揃い、平成30年度
税制改正への動きが始まりました。
例年改正の主要な部分を占める経済産業省の要望
の主たる項目は以下の通りです。

・組織再編税制における課税繰延措置の創設

・事業承継税制における中小企業対応の強化

・申告納税手続の電子化推進

組織再編税制は平成29年度改正においてもスピン
オフ税制の適格対応やスクイーズアウト税制の整備
等大きな改正がありましたが、平成30年度改正にお
いてもM&A対応等で大きな改正要望があります。
事業承継税制もやはり平成29年度改正で使い勝手
の改善が図られましたが、更なる改善を目指してい
るようです。
申告納税手続の電子化は、目下国税庁自身におい
ても最大の眼目のように見えますが(ことあるごとに
e-taxと彼らは言います)、私自身は納税者にメリット
がないので消極的です。
これについて経済産業省が推進を要望しているの
で、今後の動向に要注意と思います。
いずれにしても例年同様今後展開されるであろう
動きを注視したいと考えます。









29/08/10 非上場株式の評価

中小企業の事業承継においてはその株式の評価
(方法、金額等)が問題となる場合が多々あります。
その中で従来から私がわからないと思っていたの
が、経営承継法に基づく固定合意を行う際の株式
評価です。
この点に関しては平成21年に中小企業庁から「経
営承継法における非上場株式評価ガイドライン」が
出ています。
しかしこの内容は各種評価方法の羅列に留まって
いるように思われ、固定合意時の評価の指針とな
るものか正直疑問でした。
その数年後に中小企業庁関係者の話を聞いた際
に、固定合意の実行件数はゼロとのことで、税理
士のリスクを考えれば当然のことと感じていました。
しかし数日前に中小企業庁の委員等をしている方
の話で、ここ2~3年で固定合意が5件実行されその
全ての評価が財産評価基本通達によるものである
とのことでした。
近々ガイドライン作成の責任者である品川先生の
話を聞く機会が予定されているので、その際にこ
の実状も含めどう考えるべきかを質問してみたい
と考えているところです。









29/07/28 功績倍率法

先日(29/06/19)記載した役員退職金の計算方法に
関して、この6/30付で国税庁から発遣された法人税
基本通達の改正で、私から見たら断片的としか言え
ないような形での言及がありました。
今回の法人税基本通達の改正で9-2-27の2(業績連
動給与に該当しない退職給与)が新設され、そこに
は「いわゆる功績倍率法に基づいて支給する退職
給与は、・・・」とあり、(注)に「本文の功績倍率法と
は、役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎
として、役員の法人の業務に従事した期間及び役
員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給す
る金額が算定される方法をいう」とあります。
確かに、従来慣習的というか実務的に行われてき
た計算ロジックを、公に認めたことにはなるかと思
ます。しかし現場で問題になるのはまさに「乗ずる」
「倍率」であり、その点に具体的に触れられていない
のは残念です。
一律に倍率を提示することは当然困難かと思いま
すが、何らかの指針的なものは提示して欲しかっ
た気がします。
今後の実務界での議論を注視したいと考えます。









29/07/12 株特はずし

財産評価基本通達に定める株式保有特定会社
(保有する株式及び出資の価額が総資産価額の
50%以上を占める非上会社をいう。)、いわゆる
株特に該当すると、会社の規模にかかわらず、
その会社の株式の評価は原則として純資産価額
方式となり節税メリットが薄れると言われています。
そこで株特に該当するのを避けるため、他の資産
を購入等することにより株式保有割合を下げるこ
とがあると言われています。
ここでいう株式及び出資に何が該当するかに疑義
があり、某上場企業創業者の資産管理会社での
株特はずしが課税当局から否認されたと平成28年
新聞記事になりました。
その影響か否かはわかりませんが、平成29年度
税制改正で株式保有特定会社の判定に新株予約
権付社債を加えるという通達改正がされました。
そうしたところ、先日ある税理士の方がセミナーの
中で、上記通達改正により、貸付金や普通社債を
用いた株特はずしは規制できないことが逆に明ら
かになったと説明していました。
このように異なる角度からの視点も必要であると
いうことを気付かされました。









29/06/19 役員退職金の相当性計算方法

四半世紀に渡りこの仕事をしてきて、従来から
疑問に思っていた点のひとつが上記役員退職
金の相当性の計算方法である功績倍率法です。
この功績倍率法ですが、例えばある課税庁OB
の書籍によれば

「法令の趣旨に合致する合理的な方法であると
して判決等において認められてきた」

とされています。
しかしなぜ「退職時の報酬月額×役員在任年数
(勤続年数)×功績倍率」という計算方法に合理
性があるのかという疑問は消えないままでした。
また過大か否かを判定する際の「同業種事業
規模類似法人から得られた功績倍率」とい情
報は、少なくとも納税者にとって容易に入手で
きるものではなく非常に不合理に感じていまし
た。
そうしたところ、各種税務雑誌等によれば、平成
29年度税制改正で業績連動型役員退職給与に
ついて改正があったところ、それに関連して法人
税基本通達に初めて功績倍率法に係る文言が
盛り込まれる見通しとのことです。
今までの疑問が氷解するような詳細かつ理論
的な説明を期待したいところです。









29/05/15 遺言時の判断能力

ある弁護士の方のセミナーで遺言時の判断能力
についての話を聞きました。
著しく高齢化が進む日本においては、遺言につい
ての相談等を受けた場合、税理士としても簡単に
考えずに周到な注意を払う必要があると痛感しま
した。
その弁護士の方の話の中で、裁判例から見る遺
言時の判断能力を医学的見地から判定するツー
ルとして以下の3つがあげられました。

・改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

・ミニメンタルステート法(MMSE法)

・N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)

長谷川式については若干の知識はありましたが
それ以外の2つは初耳でした。自分の勉強不足を
痛感しました。
裁判例によれば長谷川式を過信してはいけない
とされ、その他2つのツールを含め様々な資料、
様々な観点から総合判断が必要とされています。
今後遺言に関して十分な学習を進めたいと思い
ます。









29/05/01 法定相続証明制度

法務省から上記制度についての説明資料が
公表されました。それによると

・制度創設の背景~相続登記の促進等

・制度の概要~相続人が登記所に対して、①
被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関
係の書類等、②上記①に基づく法定相続情報
一覧図、を提出し、その上で登記官がこれらの
内容を確認し、認証文付きの法定相続情報一
覧図の写しを交付

・制度のねらい~本制度により交付された法定
相続情報一覧図の写しが、相続登記の申請手
続をはじめ、被相続人名義の預金の払戻し等、
様々な相続手続に利用されることで、相続手続
に係る相続人・手続の担当部署双方の負担が
軽減

なお本制度は平成29年5月29日から運用開始
予定となっています。
実務的には、少なくとも金融機関毎に提出等し
ていた戸籍謄本等の取得が不要になる点だけ
でもメリットがあるように感じます。
今後の運用状況を注視確認していく必要があ
るかと思います。









29/04/26 法人税の申告期限延長の特例

平成29年度税制改正で、上場企業等の株主総会
開催日の集中を防止し企業と株主・投資家等との
対話を促すため、法人税の申告期限延長の特例
が定められました。
その内容は、法人が、会計監査人を置いている場
合で、かつ定款等の定めにより各事業年度終了の
日の翌日から3か月以内に決算についての定時株
主総会が招集されない常況にあると認められる場
合には、その定めの内容を勘案して4か月を超え
ない範囲内において税務署長が指定する月数の
期間の確定申告書の提出期限の延長を認めると
いうものです。
この点に関して4月18日に経済産業省から「法人税
の申告期限延長の特例の適用を受けるに当たって
の留意点」が公表されました。
これは国税当局、総務省に確認の上、整理公表し
たとあります。
例として、3月決算の株式会社が定款等で「当会社
の定時株主総会は、毎年7月にこれを招集する。」
と定めている場合、申告期限は2月(7月末日)延長
可能で、29年4月1日以降定款等の写しを添付して
所轄税務署長宛申請書を提出すればよいとされて
います。
加えて、法人事業税の申告期限延長の特例を受け
るためには、別途都道府県知事への届出が必要と
されています。
中小企業には関係ない話かもしれませんが、個人
株主として考えた場合、今後どの程度総会開催日
の多様化が進んでいくかは注視する必要があるか
と思います。









29/04/03 国税審議会

平成29年3月14日付で国税庁から「国税審議会の概要
及び各分科会の最近の活動状況」という資料が公開さ
れました
この国税審議会には大きく分けて5つの所掌事務があり
その中には私にも関係ないとは言い切れない「税理士の
懲戒処分等の審議」といったものもあります
上記公開と同時に「税務行政の現状と課題」という資料
も公開されています
例えばそこには富裕層への対応として

・富裕層PTの設置
・「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」の創設
・「国外財産調書」の創設
・「財産債務調書」の創設

といったものがあります
その中で最も興味深いのは「納付手段の多様化」とい
うものです。
第一に窓口納付として

・金融機関、税務署~現金や証券に納付書を添えて
納付
・コンビニ納付~現金に税務署で作成するバーコード
入り納付書を添えて納付を委託(30万以下の場合)

があります

第二に電子納付として

・電子納税~e-Taxを利用した電子申告などの後、
金融機関のインターネットバンキングなどから納付
・ダイレクト納付~事前に税務署へ預貯金口座を
届け出ることにより、e-Taxを利用した電子申告など
の後、簡単な操作で預貯金口座からの振替により
納付

があります

第三として口座振替納付、すなわち申告所得税と個
人の消費税について、事前に税務署へ預貯金口座
を届け出ることにより、預貯金口座からの振替により
納付します
第四としてクレジットカード納付、すなわちインターネ
ット上でのクレジットカード支払の機能を利用して納
付を委託します(1,000万円未満の場合)

日頃あまり意識していない点ですが、お客様毎にど
のような納付方法が最適かを考えるためには必須
の知識ではないでしょうか









29/03/22 マイナンバー

今回の確定申告から申告書(正、提出用)に「個人
番号」すなわちマイナンバーの欄が設けられ、かつ
本人確認書類の添付が必要になりました。
税務署から送られてくる申告書用紙一式の中にある
「本人確認書類(写)添付台紙」によると

・マイナンバーカード表裏のコピー
あるいは
・通知カードのコピー+免許証等のコピー

の提出が必要なようです。
一方税理士が代理で申告書を提出する場合、上記
台紙には記載がなく、私がこの仕事に就いて以来
欠かさずに購入している「平成28年分所得税確定
申告の手引≪平成29年3月申告用≫」(税務研究
会)にも説明の記載がありません。
しかし「週刊税務通信3442(平成29年1月23日)」の
24ページ以降に政府税調に関係している税理士会
役員の方の説明記事があり、そこには「税理士が
個人番号を提供する場合」として

・税理士の身元確認~税理士証票のコピー
・納税者本人の番号確認~マイナンバーカードの
裏面コピー又は通知カードのコピー

との記載があります。
ただ私が不勉強なのか、なぜ上記でOKなのかその
理由がわかりません。
また書店、アマゾン等で探してもこの辺りを明確に
説明している書籍を見つけられません。
今後継続していく制度なので、時間をかけて学習を
進め自らの理解を深めまたここに記載したいと思い
ます。









29/01/24 調査通知

大変お恥ずかしい話ですが、平成28年度税制改正
における国税通則法の具体的内容について最近に
なり知りました。
確かに税務六法(28年版)を見ると、国税通則法65
条の次に小さな活字で「平成29年1月1日から本条は
次のように改まる」との記載があります。
その具体的内容は、従前からある税務調査に際し
ての「事前通知」の一部項目からなる「調査通知」を
新たに設けそれが加算税賦課のトリガーになるとい
うものです。
国税通則法65条5項にある調査通知の項目は

・実地調査を行う旨
・調査対象期間
・調査対象税目

の3点です。
改正前、事前通知には調査開始日時等が含まれて
いるため、日程調整をしている間に修正申告書を提
出することで、加算税賦課を逃れるケースがあった
模様です。
上記改正により調査通知が設けられたことで、この
ような加算税賦課の回避が封じされることになりま
す。









29/01/11 医療費控除

平成29年度税制改正で医療費控除制度について
見直しが行われました。
その内容は従来の領収書の添付等ではなく、明細
書の提出が必要となるというものです。
またこの明細書については、従来の納税者が作成
するもののほか、医療保険者から交付を受けた医
療費通知書も使えます。
この点まだ明らかではありませんが、マイナンバー
を利用する制度が新設されるものと思われます。
なお従来のような領収書添付等は不要となります
が、申告期限等から5年間は提示・提出を求められ
ることがあるので、保存はやはり必要です。
また、セルフメディケーション税制では領収書の保
存は必須ですから、結局領収書は全部取っておく
というのが納税者の対応になると考えます。









28/12/01 株式の評価

現在まさに行われている平成29年度税制改正の
議論の中で複数の観点からの株式評価が取上げ
られている模様です。
ひとつは上場株式等の相続税評価の見直しです。
これは現状上場株式の相続税評価は100%ですが
相続時点、申告時点等その後の価格の推移に不
確実性があることから見直しが求められていました。
複数のメディアによりますと上記見直しは見送りに
なったようです。
もうひとつ検討されているようなのが、取引相場の
ない株式の評価です。
これは理論的には正解のない問題とも言うべきも
ので、歴史的推移を見ても様々な変遷を経て現在
に至っています。
現在の算定方法の概略は

・原則的評価方式としての類似業種比準方式、純
資産価額方式及びその併用方式
・特例的評価方式としての配当還元方式

があります。
このように書くと非常に簡単なようですが、理論的
正当性の評価は極めて困難で、また実務的にも
その局面ごとにどの方式をどのように用いれば
課税当局から認められるのかが不明確で私たち
税理士にとっては厄介な問題です。
納税者及び実務家にとって予測可能性が十分担保
されるような改正が望まれます。









28/10/24 平成29年度税制改正大綱は?

各種マスコミに今年の税制改正の見通し及び
税制改正大綱のスケジュール予測が取り上げ
られ始めました
予想される改正内容としては

・配偶者控除の見直し
・研究開発税制の拡充
・タワーマンションに係る課税の見直し(固定資
産税)

等が挙げられています
また一部新聞等では「相続税逃れの海外移住
に網 居住5年以上にも課税」と相続税の改正
が検討されているとの報道もあります
自民党税制調査会のスケジュール及び今年の
暦から推定して、平成29年度税制改正大綱は
12月8日(木)か12月9日(金)辺りではないかと
のことです
いずれにしても今後の自民党、財務省の動向
及び各種報道に注意を払う必要があるでしょう









28/09/15 平成29年度税制改正の見通し

昨日財務省主税局長の話を聞く機会がありました
少し前に政府税調での議論が開始され、各新聞等
には配偶者控除の見直し、基礎控除の見直し等が
掲載されています
当然そういう段階ですから主税局長も明確には話
をしませんが、いくつか感じた点があります
まず今回想定している所得税の改正は税収中立、
すなわち所得税収が変わらないような形のものに
なるとのことです
そう考えると、新聞等にあるように基礎控除を所得
控除から税額控除にするという方向性は大いにあ
りえそうです
すなわち低所得者層を減税し、富裕層を増税する
という方向性です
また消費税率アップという方向性の中で、所得税を
逆進性緩和の手段として捉えた場合、やはり基礎
控除の税額控除化は十分想定されるでしょう
なお配偶者控除の議論は歴史があり、夫婦控除等
色々なことが言われていますがまだ議論は収斂して
いないのではないでしょうか
今後は経済産業省の研究開発税制拡充に代表
される各省庁の税制改正要望を分析しつつ、ど
のような議論がなされていくかをしっかりと見守る
必要があります









28/08/22 スキャナ保存要件の改正

平成28年度税制改正により、いわゆるスキャナ保存
要件の一部が改正されました。
その内容としては、以下の通りです。

・スキャナについて「原稿台と一体型に限る」という要
件の廃止
・領収書等について、受領等後に署名の上、3日以内
にタイムスタンプを付す、またA4以下の場合は大きさ
に関する情報の保存が不要

これらにより、例えば受領した領収書を社外でスマホ
で読み取ることが可能になりました。
更には以下のような小規模事業者の特例が創設され
ました。
すなわち、保存義務者はいわゆる適正事務処理要件
(①相互牽制、②定期的チェック、③再発防止策)
に関して、事務手続等を整備し、これらに基づき事務
処理を行う必要がありますが、保存義務者が小規模
企業者の場合で、②の「定期的チェック」を税務代理
人が行うときは、①の「相互牽制」が不要となります。
上記を踏まえれば、一般的中小企業が改正後のス
キャナ保存をしようとした場合、顧問税理士と十分に
相談する必要があるでしょう。
また改正前の承認を受けた企業者が改正後の要件
での保存を行うには、新たに「申請書」を提出し承認
を受ける必要があります。
なおこの改正による申請書の受付は平成28年9月30
日からで、スキャナ保存しようとする日の3か月前の
前日までに「申請書」を提出する必要があります。
したがって平成29年1月1日から改正後の要件でス
キャナ保存しようとする場合、平成28年9月30日その
日に申請書を提出する必要があることになり注意が
必要です。









28/07/27 法人税基本通達等の改正

去る6月28日付で国税庁から「法人税基本通達等の
一部改正について(法令解釈通達)」が公表されまし
た。その主な内容の内、私の興味を惹いたのは以下
の諸点です。

・利益連動給与算定の基礎となる利益の状況を示す
指標には、売上、株価、配当、キャッシュフロー等は
該当しない

・上記同様利益の状況を示す指標には、利益の額に
費用又は収益の額を加減算して得た指標も含まれる

・BEPS関連で「国別報告事項」の提供が義務付けら
れる連結総収入金額1,000億円以上の場合の総収入
金額には、売上高のほか受取利息、有価証券利息、
受取配当金、有価証券売却益、為替差益、引当金戻
入益、持分法投資利益、固定資産売却益、負ののれ
ん発生益等も含まれる

・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の
特例に関して、対象法人が常時使用する従業員数
1,000人以下の法人に限定されたが、その判定時期
について少額減価償却資産取得等及び事業供用日
の現況での判定が原則だが、期末時も認める









28/07/05 医療費控除の特例

平成28年度税制改正で、検診等及び予防接種を
受けている個人を対象として、いわゆるスイッチ
OTC医薬品の購入費用について医療費控除の
特例が創設されました。
ここで何がスイッチOTC医薬品に該当するかが
問題となりますが、その具体的範囲について厚生
労働省のサイトで28年6月17日時点での対象品目
一覧が公表されました。
PDF43ページ、1,492品目に渡ります。
なかなか紛らわしい内容で、私もサッカーをして
いた頃よく使った久光製薬のエアーサロンパスに
ついて見ると、「エアーサロンパスDX」は一覧に
あるのに対して「エアーサロンパスEX」はないよ
うです。
この一覧は今後必要に応じ2ヶ月に一度更新され
るとありますが、来年の確定申告時に対象か否か
をどうやって判定するのか、今後の対応が待たれ
るところです。
領収書と一覧表とを照合しなくてはならないとした
ら、それだけで膨大な作業になり、現実的には対応
不能かもしれないからです。









28/06/03 消費税率の引上げ延期

6月1日の安倍首相記者会見により、消費税率の
10%への引上げが平成31年10月1日まで2年半
延期されることが明らかになりました。
これまで予定されていたスケジュールでは

①28/10/1→経過措置対象期間入り
②29/4/1→税率10%+軽減税率(区分記載請求書
等保存方式)開始
③31/4/1→適格請求書発行事業者登録申請受付
④33/4/1→インボイス(適格請求書等保存方式)導入

となっていました。
これらの内①と②は2年半後ろずれすることになり
ます。
しかし④については当初の予定通りではないかとの
憶測もあるようです。
詳細は秋の臨時国会で審議される見通しであり、今後
の動向を注視する必要があります。
また以下の項目についても10%への引上げ延期に合
わせて影響が及ぶと考えられます。

・直系尊属からの住宅取得資金贈与特例
・車体課税
・住宅ローン控除の適用期限

今年は通常の税制改正のタイミングの前から国会
審議の動向から目を離せそうにありません。









28/04/25 新たな国税不服申立制度

行政不服審査法等の改正に伴う国税通則法の改正に
より、新たな国税不服申立制度が平成28年4月1日から
始まっています。
新たな制度では

・「再調査の請求」を経ないで直接審査請求が可能
・不服申立期間の延長(2→3ヶ月へ)
・原処分庁に対して質問権の行使が可能

等の変更がありました。
特に実務的に大きな変更としては、審査請求に関する
証拠書類のコピーが可能となったことがあります。
従前は閲覧書類のコピーが不可だったため、手書きで
書き写すことが必要でした。
新制度では、証拠書類等だけではなく、審判官が職権
で集めた証拠書類等の閲覧、コピーも可能となりました。
また、証拠書類等の閲覧に際し、国税不服審判所の
職員に申し出ることにより、デジカメ等による撮影も可能
となったようです。
これは実務家にとって大きなメリットとなると思われます。
ただできれば税務調査段階でけりをつけ、更正は受けず
にすませたいものです。









28/03/22 財産債務調書

今年は例年以上に確定申告に手間取り更新が
遅くなりました
臨時というか単発の譲渡が2件あり、ともに東京
中心部での大きな土地売却で、確認等を繰り返し
たため時間を要しました
さて今回の申告から従来の財産債務明細書が
財産債務調書へ変更されました
何分初めてのことであり私自身正直十分に理解
しきれていないのですが、従来に比してかなり面倒
になったという印象があります
まず入り口の段階で、従来は所得基準のみだった
のに対して、今回からは財産価額の基準が追加
されました
したがってどのような財産をどのように評価するかが
問題となります
評価ということになれば特に問題となるのは土地と
非上場有価証券でしょう
土地は固定資産税評価額や路線価(=財産評価
基本通達)によればよいようです
非上場有価証券は簿価純資産で大丈夫なようです
上記を前提にすると、手間と時間をかければ作成
できないことはない気がします
ただ個人の場合、法人と異なり帳簿がないのでどの
ように網羅性を確保するかが問題となりそうです
また一番最初に作成する際には非常に手間と時間
を要することは間違いないと思われます
なお期限後の提出であっても、更正等を予知してな
されたものでないときは、期限内提出とみなされます
さらに提出後に記載内容に誤りや記載漏れがあった
場合には、期限後であっても再度提出することにより
訂正可能とされています
今回の各申告結果に対して、今後課税当局が財産
債務調書に関してどのような内容の問合せをしてくる
のか、注意深く推移を見守る必要がありそうです









28/01/14 平成28年度税制改正④

昨日(=28/1/13)、財務省主税局長の話しを聞く機会が
ありました。
28年税制改正について突っ込んだ話が聞けるかと期待
していたのですが、あまり詳細には立ち入らずやや残念
でした。
そんな中でも気になった点を以下順不同で列挙します。

・今後の税制改正はデフレ対策的視点から構造改革的
視点へと移っていく

・法人税率引下げに関しては財政事情等考慮すれば
ネット減税はしない

・法人税改正では稼ぐ企業を応援する施策が多くなる

・今回の減価償却の見直し(=建物附属設備、構築物
の定額法一本化)に際しては機械装置も検討されたが
見送った

・消費税率アップに向けてはまず給付か軽減税率かと
いう議論があった。それぞれ一長一短ある中で、当初
の財務省案(=マイナンバーカードを使ったもの!)は
いいとこどりをしようとしたが、結局給付の前提となる
安定的所得捕捉への不安等があり軽減税率の採用と
なった

・軽減税率対象の問題で、例えば外食に該当するか
否か等限界事例は必ずあると認識しているので、現
在作成中の法律、政省令に可能な限りその点を記載
するつもりである

・既に29年改正に向けて所得税分野の議論を開始し
ている。その際の視点は①人口構造の変化、②家
族の変化、③働き方の変化、④家計・再分配の変
化、の4つである。また社会保険料を含めての特に
若年層の負担をどう考えるかは大きな問題である
と認識している









27/12/07 軽減税率の行方他

平成28年度税制改正大綱の発表が近づく中、各種
報道等を見る限り軽減税率の行方は現時点では未
確定の模様です。
現状では

①生鮮食品
②生鮮+加工食品(菓子・飲料除く)
③生鮮+加工食品(酒・外食除く)
④酒除く全ての飲食料品

という区分が想定される中、①と③とを押す勢力
が綱引きをしているようです。
税の現場で仕事をする立場から言えば、①でもその
区分は相当に不明確であり、それ以外ともなれば大
混乱は不可避と考えます。
いずれにしても何らかの範囲での軽減税率採用は
既定路線のようですので、今後実務家としては苦労
を強いられそうです。
一方消費税率アップと軽減税率の議論の中で、益税
批判回避のためにインボイス制度の導入が不可避で
あるとの方向になっています。
しかし平成29年4月時点でのインボイス制度導入は
実務的事務的に困難との認識から

現行の請求書等保存方式→区分記載請求書等保存
方式→「適格請求書」等保存方式(インボイス制度)

と段階を踏むことが想定されています。
平成29年4月時点では、請求書等への記載は最小限
とし、「軽減税率対象品目についてはその旨」及び「軽
減税率対象と標準税率対象のそれぞれの取引金額」
を記載すればよいこととされる模様です。
ただ上記内容を現実の請求書等の記載に反映するに
は、当然のことながらシステム的対応が必要となるた
め、今後事務的には慎重な検討を要すると思います。
また2期前の課税売上高が5千万円以下(=簡易課税
と同じ)の事業者については、売上について特例計算
(3方法)が認められるようです。
その3方法とは

ア)簡易課税の適用を受けない小売り事業者及び卸売
事業者→課税仕入総額に占める軽減税率対象売上に
係る課税仕入額の割合を売上高に乗じて、軽減税率
対象の売上高を算出
イ)上記ア)以外の事業者→課税期間中の通常の事業
を行う営業日の連続した10日間における売上高に占め
る軽減税率対象の売上高の割合を当該課税期間中の
売上高に乗じて、軽減税率対象の売上高を算出
ウ)主として軽減税率対象品目の販売を行う小売事業
者であって、上記ア)又はイ)の計算が難しい場合は、
100分の50を当該課税期間中の売上高に乗じて、軽減
税率対象の売上高を算出

現状でもある意味消費税法は実務的に最も複雑であり
税理士損害賠償の統計を見ても消費税が最大の対象
となっています。
それに加えて上記のような軽減税率の導入ですから、
企業の事務負担増加はもちろんのこと、私たち実務家
もこれまで以上に消費税法の難しさに直面することは
避けられそうにありません。









27/10/30 平成28年度税制改正③他

例年通りのスケジュールで税制改正のセミナーの
開催が発表されつつあります。
ということは今年は通常通り12月初旬から中旬に
大綱の公表があるということでしょうか。
先日財務省OBの方の話を聞きました。28年改正
の課題というような内容でした。
その方の予測では、今年の改正は
・消費税軽減税率の制度設計
・法人税率引下げの加速
の2点が中心ではないかとのことでした。
後者の税率引下げは、当然のことながら財源手当
が必要となります。それは減価償却制度の見直し
(ということは定額法への一本化?)と、外形標準
課税の更なる見直しによるのでは、との話でした。
軽減税率の制度設計は、まさに現在議論が行われ
ていますが、大きく分けて
・範囲、対象の問題
・事務処理方法
という2点の検討が必要です。
事務処理方法については時間があまりないという
点も踏まえ、ある程度簡略な方法の採用を考えて
いるようです。
範囲、対象については財源やわかりやすさ、また
痛税感への配慮、さらに逆進性等々考慮すべき
側面が多く簡単には行きそうもありません。
今後の議論の推移を注意深く見守りたいと考え
ます。
最後に追加でタワマン節税について記載します。
10月27日の政府税調においてある委員からタワマン
節税について通達等を見直すべきでは、との発言
があったようです。
これに対し国税庁は「今後も、適正な課税の観点
から財産評価基本通達6項の運用を行いたいと
考えております」との回答があった模様です。
したがって極端に相続税対策に偏ったケース(例え
ば相続発生直前のタワマン購入等)等については
今後要注意かもしれません。









27/10/2 平成28年度税制改正②

ここ半月ほどの間に、現役、OB、複数の国税関係
者の話を聞きました。
その中で自分なりに納得のいく方向性について以下
記載します。
ただあくまでも予測ですので、今後随時修正すると
いう前提のものです。

・軽減税率の具体的内容
これは非常に予測が難しいと思われますが、税制
改革法7条を考慮すれば、平成29年4月の10%へ
の変更時点では具体的内容は決まらず簡素な給付
措置が継続しているのではないでしょうか。
ではその後決まるであろう具体的内容ですが、財源
を考慮すれば財務省が提示した「日本型軽減税率
制度」か生鮮食料品を対象にした軽減税率(いわゆ
る第2案)か、いずれかしかないと思われます。

・配偶者控除の見直し
これは政府税調での議論はかなり進んでいるので
本来28年改正に入りそうなものですが、来年参議院
選挙があるので見直しはそれ以降になりそうです。
ここには2つの議論があり、例えば移転的基礎控除
に変更するというもの、もうひとつはそもそも所得控
除か税額控除か、というものです。

・法人税実効税率の引下げ
財源としては租税特別措置の更なる見直し、あるい
は減価償却の見直し(例:定額法への一本化)等が
想定されるようです。また表面税率引下げに拘れば
更なる外形標準課税の拡大もあるかもしれません。

・金融所得課税の強化
これは少し先の話かと思いますが、所得が非常に
大きくなると税負担率が下がるということで問題に
なった点です。
これは所得が大きくなると金融所得(利子、配当等)
が大きくなり、その税率が20%の分離課税のため、
上記のように税負担率が下がるという現象が発生
します。
どのような変更がなされるかは難しいところですが
最も単純に税率20%を引上げるということもあるか
もしれません。









27/8/31 平成28年度税制改正①

経済産業省からの税制改正要望が8月25日付
で発表され、私たち実務家の平成28年度税制
改正へ向けての検討がスタートしました。
各税務専門誌等にも取材に基づく内容が取り
上げられつつあります。
現状予測される平成28年度税制改正の主たる
内容は以下の通りです。

・法人実効税率の引下げ
方向性はまさにこの通りで、統計数値的には
OECDやアジア諸国に比して高い実効税率の
引下げは中期的課題と思われます。
ただ財務省は税収中立を要望しているようで、
課税ベースの見直しがどう行われるかを注視
する必要があるのではないでしょうか。

・役員給与等に係る税制の整備
上場企業等を対象に、現状の利益連動給与に
代え多様な業績連動報酬や株式報酬の導入促
進を図ることが想定されています。
しかしこれは法人税だけではなく所得税等とも
関係する内容なので技術論的にも難しいと思わ
れ、簡単ではないなというのが個人的印象です。

・その他
大企業も使える接待飲食費50%損金の制度は廃
止の模様です。
また太陽光発電設備がグリーン投資減税の対象
設備から外れる方向のようで、これから投資を検
討している場合には改正の動向に留意する必要
があります。









27/7/21 一般社団法人等を利用した節税策への疑問

ここ数年、一般社団法人等を利用した節税策の
話をよく耳にします。
私自身複数の同業者のセミナーに参加し、机上
の理論はある程度理解しているつもりです。
例えばその同業者のうちの一人の方は、資産税
専門の大手税理士法人所属で、このテーマにつ
いて様々なところでセミナーを開き、また税務系
出版社から一般社団法人等についての書籍も
出されています。
この仕組みは大まかに言えば
①一般社団法人等を設立
②オーナーから一般社団法人等への同族株式
譲渡
③一般社団法人等は配当等により株式買取資
金を返済
④相続が発生しても一般社団法人等は持分が
ないので、同法人が所有する同族株式は相続税
の課税対象外となる
というものです。
上記②の段階で約20%の譲渡所得税等を支払う
ことと引き換えに、相続税がなくなるというものです。
理論上の話としてはわからないことはないのです
が、上記のような形式をとることにより、一般社団
法人等が取得した同族株式が永久に相続税の対
象からはずれるという点が、どうも話がうま過ぎる
気がしてひっかかっていました。
そうしたところ、最近になって国税OBの重鎮の方
々が相次いで雑誌にこの節税策への警告を寄稿
されました。
川田剛税理士は税経通信5月号に下記のように書
いています。
「そもそも、このようなスキームに合理性があるのか
否か」「それらの法人がオーナー又はその相続人等
によって支配されているとみなされるリスクが高い」
「当局の後出しじゃんけん方式により規制措置を導
入することも考えられる」と否定的な見解を並べてい
ます。
そして最後には、「法令改正等に至らなくても、現行
通達の下でも、一般社団法人・財団法人を利用した
租税回避行為に対する規制は可能である」「行き過
ぎた相続税回避策や贈与税回避策があれば、それ
に対する当局の対応策は必ずあると考えるべきで
ある。」「最近見られる一般社団法人・財団法人を
利用した行き過ぎた租税回避行為の横行に対して
は、改めて注意を喚起しておきたい」とあります。
また品川芳宣筑波大学名誉教授はT&Aマスター
2015.6.8の判例評釈の中で、「なお、本判決は本件
13社を実質的にX1らの同族関係者であると認定し
たのであるが、このような認定が可能であれば、近
年もてはやされている一般社団法人等を利用した
節税策にも影響を及ぼすものと考えられる」という
ある種の警告を発しています。
いずれにしても実務家としては十分注意する必要が
あるのではないでしょうか。









27/6/9 企業の節税策に報告義務?

去る5月下旬の日本経済新聞の記事に「企業
の節税策に報告義務 政府検討、税逃れ防止
へ罰金も」という見出しの記事が出ました
それによると「政府が税理士に対し、企業に
提供している節税策の報告を2017年度にも
義務づける検討に入った。」とのことです。
私は一読して、税理士である自分が課税当局
へ報告を義務づけられる節税策の定義は何で
あろうかと考えました。
調べてみるとこの記事のもとはBEPSの『行動
計画12(タックスプランニングの報告義務)』か
ら来ているようです。
この行動計画12では、アグレッシブ・タックスプ
ランニングの開示制度が検討されています。
ここで最大のポイントは上記にも書いたように
何が報告義務の対象になるかという点です。
OECDのディスカッションペーパーによれば

・利用者に対して税務スキームに関する守秘義
務を課しているもの
・報酬体系がその税務スキームにより得られる
タックスメリットを加味した割増または成功報酬
となっているもの
・租税回避スキームとして一般的に認識されてい
る欠損金の利用や所得移転などの個別の取引
を含む税務スキーム

が例示されています。
現時点では検討の段階のようですが、今後とも
BEPSの議論には十分注意を払っておく必要が
ありそうです。









27/5/12 グループ内取引への課税

先月の日本経済新聞に「グループ内取引 課税
拡大」の見出しで、「増・減資や出向社員の人件
費」「国税、利益移転調査厳しく」という記事が掲
載されました
その記事によれば、海外取引での申告漏れ事例
等の中で最も多いのは寄附金(60%)となってい
ます
私のように中小企業の税務を日々担当している
者の場合、増減資や出向はあまり関係しない気
がしますが、出張旅費もとなりますと無関係とは
言えません
特に100%の親子関係ならグループ法人税制の
適用により寄附金の問題は起こりませんが、そ
うでないケースでは要注意です
例えば100%ではない海外親会社と日本子会社
との間での行き来を想定した場合、その際の出張
旅費の負担関係については深く意識していない
場合も多いかと思います
出向の場合は法人税基本通達9-2-47(出向者に
対する給与の較差補填)というような規定があり
ますが、出張旅費についてはありません
従って上記のような場合、原理原則に立ち返り、
「誰から求められた出張なのか」「出張先で何を
したのか」「それは誰のためなのか」等々を明確
に記録しておき、その内容に基づいて費用の負担
関係を決める必要があります
海外との取引ですと移転価格税制がまず思い
浮かぶかもしれませんが、上記寄附金課税も
要注意でしょう









27/3/26 マイナンバー制度への対応

各種税務雑誌や国税庁を含むお役所のHP等でも
マイナンバー制度(=社会保障・税番号制度)への
対応に関する情報が大量に発信されています
私自身まだその把握が極めて不十分な状況ですが
少し調べただけでも気付く点が多々あるため以下
記載してみます
まず驚いたのが、税理士自身の問題として、例えば
給与計算等を受託し、当然ソフトウエアを使って計算
するわけですが、そのソフトの保守サービスに加入
している場合やソフト自体がクラウド上のものである
場合、関与先から事前に再委託の許諾を得る必要
があるようです
クラウドソフトは必ずしも大きく普及とまではいって
いないかと思いますが、給与計算ソフトは毎年改正
があるため保守に加入せず使用している税理士は
ほぼ皆無かと思います
その場合に事前の許諾となれば、関与先とどのよう
なやり取りをすべきか研究しておく必要があります
少なくとも至急ソフトウエアを提供している事業者に
再委託との関係を確認する必要があります
次に関与先の問題として、従業員等の個人番号の
提供を受ける場合があります
給与支払い等に関して会社が従業員等から情報
提供を受ける場合、原則として2つの方法があるよ
うです
①通知カード(番号確認)及び運転免許証、健康
保険被保険者証等(身元【実存】確認)
②個人番号カード(番号確認と身元【実存】確認)
ここで通知カードとは、本人の氏名、住所、生年月
日、性別、個人番号が記載されたものです
個人番号カードとは、本人が市区町村に交付申請
し、通知カードと引き換えに交付を受けるもので、上
記通知カード情報に加え、本人の写真が表示され
るものです
初期段階を想定すれば①になると思われますが
その場合でも会社は本人から免許証等の提示を
受け確認作業をすることになります
そう考えただけでも面倒ですが、更に上記会社の
確認作業について誤り等があった場合の責任等
を考えると訳がわからなくなります
今後実施に向けて私自身職業専門家として相当
研究する必要があると思わずにはいられません









27/2/4 買換え特例の改正の内容と疑問点

平成27年度税制改正の中身のひとつに資産
課税部分でいわゆる9号買換え特例の延長、
縮減があります
これは長期所有の土地、建物等から国内に
ある土地、建物、機械装置等への買換えに
ついて圧縮記帳を認めるというものです
従来はこの圧縮記帳による課税の繰延べ割合
が80%でしたが、地方から特定地域(東京23区)
への買換えは70%、地方から大都市等(東京圏、
中部圏、近畿圏)への買換えは75%に縮減され
るという改正内容になっています
国土交通省資料等を見ると上記の2つの縮減
以外は全て現行通り存置となっていますが、この
表現が例えば23区から23区への買換えについて
80%を意味しているのかはっきりしません
今後出る税制改正法案の文言を確認する必要
があると思われます








26/12/29 明日税制改正大綱発表?

新聞及び各種報道によれば明日平成27年度税制
改正大綱が発表されるようです。
それに伴い新聞、専門誌等でその内容が明らかに
なりつつあります。
ただ大まかな項目的なもののみ判明し、法律案等
まで出ないとその制度設計がよくわからないものも
あります。
大きな変更としては例えば下記のようなものがある
とされています。

・外形標準課税の強化とそれに伴う激変緩和措置
・繰越欠損金の控除割合(大企業)を現行の80%か
ら27・28年度は65%、29年度以降は50%に、繰越
控除期間は10年間(=会社法の帳簿保存期間)に
延長
・出国時課税の創設、すなわちキャピタルゲインが
非課税の国に移住することによる譲渡所得課税の
回避を防止するため、出国時において未実現のキャ
ピタルゲインに課税する措置で、担保の提供及び
納税管理人の届出を要件に納税猶予

等があります。
上記以外にもNISAの拡充、住宅資金の贈与税非
課税措置の大幅拡充等細かく見ていけば色々な
項目があると思われます。
いずれにしましてもまずは明日の大綱で内容という
か税制改正の概要を確認し、そこから27年4月1日
に向け法律案の精査等を進めていくことになります。
年度末まで気が抜けません!








 26/11/21 解散と27年度税制改正

今日平成26年12月21日、衆議院が解散されます。
合わせて消費税率の10%への変更を、当初の27年
10月から1年半先送りし29年4月とすることも発表され
ました。なお、この29年4月は基本的に延長されること
はないようです。
消費税に関しては与党税制協議会で「軽減税率制度
については、関係事業者を含む国民の理解を得た上
で、税率10%時に導入します。2017年度からの導入
を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等につい
て早急に具体的検討を進めます」と決定されました。
相変わらず表現として「10%時に」「導入を目指して」
なので時期ははっきりしませんが、10%への変更時期
が延びたことにより軽減税率の検討が本格化するこ
とは間違いなさそうです。
税制大綱は一部情報によりますと27年1月8日(木)
とのことであり、少なくとも選挙の影響で例年の12月
下旬よりは後ろにずれ込むことは不可避と思われ
ます。
加えて上記軽減税率に関して27年前半に軽減税率
単独の税制改正大綱を策定する必要があるとの話
も与党内から出ているようです。
また消費税率アップが先送りされたことにより、財源
が当初想定より不足しますので、その影響が27年度
改正全般にあることは必至です。
いずれにしてもあと1ヶ月半程度の間には発表される
であろう27年度税制改正大綱について十分注視する
ことが必要でしょう。








 26/10/14 平成27年度税制改正に向けての議論

先週から与党内で平成27年度税制改正に向けての
議論が開始されました。
まず検討対象となったのは、7・8月にヒアリングを
実施した軽減税率導入の是非についてです。
ヒアリング結果を見る限りでは軽減税率導入に否定
的な意見が多いようです。
理由としては
・線引きの不明確さ
・減収分を補てんする財源の問題
・区分経理等事務負担増加への懸念
等があげられています。
ただ自民党は軽減税率導入と10%への引上げとを
リンクさせないとも言っていますので、今後の議論に
注意が必要です。
特に27年10月から10%に引上げと仮定すると、その
税率アップが予算編成とも絡んでくるので、従来年内
に引上げの可否を決定と言ってきましたが、前倒し
決定要求もあるようです。
いずれにしても消費税率の問題、法人税率引き下げ
に伴う問題、これら2点を中心に27年改正の議論は
進んでいくものと思われます。
最近の税制改正議論は従来の方式にとらわれない
面がありますので、開始した議論を注意深く見てい
く必要があると考えます。








 26/9/18 平成27年税制改正の見通し

昨日(=9/17)財務省主税局長と総務省自治税務
局長の話を聞く機会がありました
日本が直面する財政、経済、税制の現状と課題に
ついて様々な観点からの情報を得ることができた
気がします
それらの中で、これから本格的検討が始まる税制
改正についての言及がありました
閣議決定、与党税調、政府税調等から様々な情報
が発信されていますが、昨日の話を踏まえ、以下
私見を述べたいと考えます
まず日本の動かし難い現状として、高齢者に対して
労働人口の比率が低下しています
その中で社会保障制度を支えるには、消費増税に
代表される広く薄い負担が不可避の状況です
この広く薄くという観点を法人税、地方税、それぞれ
の観点から見るとどうなるでしょうか
まず法人税から見ると、諸外国と比して日本は極端
に欠損法人の割合が高くなっています
同時に法人実効税率の引下げは国際公約になって
います
ここから想定されるのは欠損金繰越控除制度の
見直しと課税ベースの拡大(受取配当益金不算入
制度の見直し、減価償却の定額法への一本化、
地方税の損金算入の見直し等)です
一方地方税から見る広く薄くは外形標準課税の範囲
拡大です
現行の資本金基準1億超だと法人数では全体の1.0
%しかその対象になっていません
どのような形で範囲を拡大するかは現状不明ですが
総務省としては複数の案を作成し、政治にその決定
を委ねているという話でした
消費税率アップ、欠損金繰越控除制度の見直し、
外形標準課税の対象法人拡大等、広く薄くという
ことは赤字法人にとって非常に厳しい資金繰りに
なることが容易に予想されます
企業経営者としては是が非でも黒字にしなければ
ならないということを強く再確認する必要があるの
ではないでしょうか








 26/8/20 行政指導とは?

国税通則法改正により、税務調査に際しての課税
当局側の手間が大きく増加したため、今後は調査
ではなく行政指導が増えるのではないかと言われて
います
情報公開により明らかになった当局の内部文書に
よりますと

「調査とは、国税に関する法律の規定に基づき、特定
の納税義務者の課税標準又は税額等を認定する目的
その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で
当該職員が行う一連の行為をいう」

「行政指導とは、当該職員が行う行為であって、特定
の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する
目的で行う行為に至らないもの」

とされています
何とも曖昧な規定振りで納税者としては困ってしまう
のではないでしょうか
ただ当該内部文書で、接触の最初の段階で「調査」か
「行政指導」かを明示する必要があるとされています
したがって納税者としてはこの点に十分注意しておく
べきでしょう
実務上は当該文書に「税務代理人に対する行政指導」
という項目があるので、納税者直接ということはあまり
ないかもしれません
したがって万一納税者直接に文書も含め行政指導と
しての問合せ等があった場合は、その前提は任意の
協力なので、あわてずに税務代理人である顧問税理士
に連絡、相談するということを確認しておいて下さい







26/7/18 軽減税率導入の是非

現在、消費税率10%時の軽減税率の導入につい
て検討が開始されています。
経団連、日税連等各種団体のヒアリングが行わ
れているとのことです。
まず経団連は単一税率維持を主張しています。
その理由としては
①複数税率は社会保障制度の持続可能性を損
なう
②対象品目の線引きが不明確で、国民・事業者
に大きな混乱を招く
③新たに区分経理の事務が発生し、大きく事務
負担が増加する

また日税連も「軽減税率は未来永劫入れるべき
ではないと思っている」と発言しているようです。
実務家の立場からは上記②、③は非常に気に
なるポイントです。
漠然と考えてもかならず線引きに伴う限界事例が
出てくることは不可避です。
よくヨーロッパの事例として挙げられる食料品は
軽減税率、外食は通常税率のパターンです。
ファストフード店でテイクアウトは軽減税率、イート
インは通常税率、そのためテイクアウトで購入して
店内で袋から出して食べているという事例です。
税制がこのように消費者行動に影響を与えるの
は好ましくありません。
加えて現状消費税法が要求する経理システムで
は、事業者が一義的に適用税率を判断すること
は困難で、その判定に相当な労力を必要とする
ことが推測されます。
そう考えると、10%の段階での軽減税率導入は
色々な意味で時期尚早であり、少なくとも消費税
法をもっと整備した上での導入是非検討とすべき
ではないでしょうか。







26/6/11 消費税率10%に向けて

27年10月に予定されている消費税率10%への
改定に向けて、政府与党内での議論が活発化
しています。
先日軽減税率対象としての飲食料品の線引き
例が論点として提示されました。

①全ての飲食料品
②酒を除く全ての飲食料品
③酒、外食を除く全ての飲食料品
④酒、外食、菓子類を除く全ての飲食料品
⑤酒、外食、菓子類、飲料を除く全ての飲食料品
⑥酒、外食、菓子類、飲料、その他の加工食品を
除く全ての飲食料品(≒生鮮食品)
⑦米、みそ、しょうゆ
⑧精米

上記を見て少し考えればわかるように、どの区分
を採用するにしてもその線引きは極めて曖昧とい
うか実務上の困難を伴うことは不可避です。
飲食料品とは何か、菓子類とは何か、外食とは
何か等々実務家としては採用して欲しくない定義
ばかりです。
加えて事業者としての区分経理のための仕組み
(案)も提示されています。

(A案)区分経理に対応した請求書等保存方式
(B案)A案に売手の請求書交付義務等を追加した
方式
(C案)事業者番号及び請求書番号を付さない
税額別記請求書方式
(D案)EU型インボイス方式

事業者の立場では、まず軽減税率対象を区分
することに相当の手間を要するものと推測され
ます。加えて、現状2税率(5%、8%)混在の状態
が3税率(5%、8%、10%)混在となりその場合の
請求書等の処理の話なので、どう転んでも現状
より手間のかかる話になります。
税負担を課された上に事務処理の手間も発生
するのですから事業者としては辛いところですが
今後の議論の推移に注意を払い、どの区分、方式
が採用されても会社経理上対応できるような心の
準備をしておくことはリスクヘッジの観点から必須
と思われます。







26/5/19  (続)法人実効税率引下げの議論

政府税制調査会での議論が進み、法人実効
税率引下げに関して様々な論点が出てきまし
た。
基本的に税率引下げありきなので、税収中立で
税率を引下げるために課税ベース拡大に議論
が集中している気がします。

・欠損金繰越控除制度の長期間化
・受取配当益金不算入制度の見直し
・減価償却の定額法への統一
・外形標準課税の範囲拡大
・法人住民税均等割の増額
・事業税、固定資産税の損金算入措置の廃止
・中小企業の基準の引下げ
・軽減税率(中小企業の800万以下の所得に対
してものも)の必要性再検討

上記論点は大半の中小企業に影響を与える
ものであり、今後の議論には十分注意を払う
必要があると思われます。特に欠損法人につ
いては、税率引下げのインパクトより上記課税
ベース拡大の影響の方が大きいのではないか
と感じます。
いつも間にか税制改正の議論が通年化しつつ
あり、今後の税制改正の方向性を常に注視し
企業行動を考える必要がありそうです。






26/4/14  税務調査手続の改正

ご存知の方も多いかと思いますが、25年1月か
ら国税通則法が改正され税務調査手続が大き
く変わりました。
ただそこで決められた規定の通り実践しようと
すると実務上うまくいかない点があり、26年改正
で再度国税通則法が改正され、それに関する
通達等が去る4月9日発遣されました。
その内容は税務調査の事前通知に関するもの
です。
25年1月以前は税務代理人である税理士に対し
まず税務署から連絡があり、調査日程等の調整
が行われました。一方25年1月以降は原則まず
納税者本人のもとに電話がいき、その後税理士
への連絡、日程調整へと進みました。
しかし私も経験しましたが、25年1月以降の方法
は結局二度手間で、効率的とは感じられません
でした。
そのため税務代理権限証書(≒委任状)への記載
を条件に、26年7月1日以降の事前通知から税務
代理人(≒顧問税理士)への通知のみで足りるこ
ととされました。
ただあくまでも税務代理権限証書への記載が条件
のため、万一ここ最近のように納税者に先に税務
署等から連絡があった場合は、その場で顧問税理
士への委任を伝えることになると考えます。






26/3/18 法人実効税率引下げの議論

昨日3月17日で今年の所得税確定申告がようやく
終了となりました。
例年のことながらやはり案件が集中するのと、個人
の方は法人と比して申告することに関しての意識が
薄いので、作業に手間取りました。
さて国際公約ともなっていると言われる法人実効
税率引下げの議論が、政府税調等で行われていま
す。
日本の現在の財政状態を考慮すれば、当然の話と
して実効税率引下げに伴う税収減をどのように補う
か代替財源が問題となります。
現状項目として挙げられている主なものは以下の
通りです。
・外形標準課税の適用範囲拡大
・欠損金の繰越控除の見直し
・租税特別措置の見直し
・減価償却制度の見直し
この中で特に具体的に検討されているのが外形標準
課税の適用範囲拡大です。
過去平成19年税制改正に際して、外形標準課税の
適用基準を現行の「資本金1億円超」から「資本金等
の額1億円超」に見直す改正が実現寸前のところまで
いったという経緯があるようです。
加えて現在の政府税調民間委員から法人実効税率
引下げに伴う代替財源として、課税ベースの拡大、す
なわち外形標準課税の拡大が提言されています。
その内容を見ると、「赤字企業も社会インフラを利用
しているので、外形標準課税を拡大して応分の負担を
課すべきではないか。その具体的な制度、例えば3年
間法人税を収めていない企業は4年目からは外形標
準課税の適用分割合を増加させる、等を設計、適用
していくべき。」とあります。
また、これらと全く異なる議論として主として学者の方
が主張していると思われる内容として「法人税のパラ
ドックス」があります。
これは法人税率の引下げにもかかわらず、法人税収
が安定的に推移するもので、要因としては次のような
ものが考えられます。
・税率引下げに合わせた課税ベースの拡大
・法人税負担低下に伴う自営業者等の「法人成り」
・法人税負担減少に伴う投資喚起等を通じた法人利益
の増加
いずれにしましても課税ベースの拡大という議論は避け
られないため、法人実効税率引下げは、色々な意味で
中小企業経営にも多大なる影響を与えることは必至
です。
今後の議論を注視していく必要があると思われます。






26/1/24 消費税率引上げ時の適用税率

この1月21日に国税庁消費税室から「消費税率
引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関す
るQ&A」が公表されました。
10問から成る小さなQ&Aですが、非常に興味
深い中身になっています。
まず思うのは未成工事支出金、建設仮勘定、
短期前払費用のような資産勘定を振替えて仕
入税額控除をする場合は、十分注意する必要
があるという点です。
次にQ&Aの問1に、1月6日のお知らせで私が
書いたことへの回答がありました。
その概要はA社が検収基準、B社が出荷基準
で期をまたぎB社から5%の請求書が来た場合
の処理は、というものです。
答えは実にあっさりしていて、「B社がA社に対
して、施行日前に行った課税資産の譲渡です
ので、A社においても、旧消費税法の規定に
基づき仕入税額控除の計算を行うことになり
ます」とされています。
上記回答の含意は明らかではありませんが、
消費税法の趣旨からしてA社とB社の適用税
率は同じでなければならず、その場合A社は
B社の請求書に依拠して支払をする必要が
あります。
したがってB社がどのような請求書を発行す
るかについて、A社は事前にB社と調整する
必要があり、B社から請求書が届けば原則
としてそれに従う必要があるということかなと
感じます。
やはり主要取引先とは事前に消費税の処理
について確認しておくことが重要かと思います。






26/1/6 消費税率アップ時の実務対応例 

消費税率のアップまであと3ヶ月を切りました。
各企業は取引内容の特徴等に応じて実務上
の対応について準備を進めているものと思わ
れます。
ここでひとつの例について考察します。
25年4月に国税庁消費税室から発表された
経過措置Q&Aの問5に返品時の取扱いにつ
いての記載があります。
それによると「取引当事者間において取り交
わす請求書等に適用税率を明記し、取引の
相手方は当該請求書等に記載された税率に
より仕入れに係る対価の返還等に係る消費
税額を計算することとなります」とあります。
この趣旨は買う側と売る側の適用税率を一致
させるように当事者間で調整することが必要
だということだと思われます(消費税における
前段階控除方式)。
これは26.3.31に発送した売主が発送基準で
売上を計上、26.4.1に検収した買主が検収
基準で仕入を計上、というようなケースで具体
的に問題となり得ます。
このような場合、複数の考え方があるかと思
いますが、要は当事者間で調整し、請求書等
に記載された同一の税率で売る側も買う側も
消費税を計上する必要があるということです。
業種によって様々かとは思いますが、26.3.31
を跨ぐ取引については要注意でしょう。






25/12/2 平成26年度税制改正の具体的内容 

年末に向けて平成26年度税制改正の具体的内容
が新聞等でも報道され始めました。
これらの記事は自民党税制調査会での議論による
ものと思われます。
当然のことながら確定したものではありませんが、
現状取り上げられているのは
・ゴルフ会員権譲渡損の損益通算の禁止
・高額役員給与の給与所得控除縮減
・簡易課税のみなし仕入率等の見直し
等です。
従来から議論されてきたものも当然ありますが、こ
こへきて新たに取り上げられたと思われるものもあ
ります。
新聞等で取り上げられていない内容として、27年末
までに発行の少人数私募債の利子が、28年から総
合課税対象となるというものがあります。
これは25年改正でいわゆる「私募債封じ」が規定さ
れましたが、条文解釈上28年1月1日以降発行分か
らの適用とされ、それ以前の発行のものは利子の
受取が28年1月1日以降でも申告分離課税の対象
とされました。
このため、27年末までに少人数私募債を駆け込み
で発行する動きが相次ぎ、今回の改正内容となった
模様です。
自民党税調の資料を見ていると、今後の改正検討
事項としては
・年金課税の見直し
・医療費控除制度の在り方の検討(適用下限の見
直し?)
等々様々なテーマがリストアップされています。
26年改正の議論だけでなく、将来に向けての検討
事項にも注意を払う必要があると思われます。





25/11/4 平成26年税制改正に向けて

自民党税制調査会では年末の26年改正に
向けて準備が行われているようです。
新人議員向け勉強会での議論を見ますと、
いわゆる税制抜本改革法7条に挙げられて
いる給与所得控除の在り方の検討及び年
金課税の見直しが議論されています。
例えば個人所得課税の場合、日本の実効
税率は諸外国に比して低く、その観点から
も給与所得控除の更なる縮減が検討され
るべきとの議論がなされています。
加えて、特に法人役員の給与所得控除の
縮減について以前あったような議論(1人
オーナー課税の代替措置)が再度なされて
います。
年金については高所得者の年金給付の在
り方及び公的年金等控除を含む年金課税
の在り方、両者の検討を行うとされています。
いずれにしましても今後年末に向けて26年
改正の内容が種々アナウンスされるかと思
いますが、まずは給与所得控除見直しと年
金課税の在り方等の行方について、注意を
払っておく必要がありそうです。





25/10/1 消費税率8%!

去る10月1日、法律通り26年4月1日から消費税率を
5%から8%にするということが決まりました。
合わせて「民間投資活性化等のための税制改正
大綱」が自民党、公明党の名前で発表されました。
その主たる内容は
①生産性向上設備投資促進税制
②ベンチャー投資促進税制
③事業再編促進税制
の創設です。
それ以外にも研究開発税制の拡充、所得拡大促進
税制の拡充等が含まれています。
ここで消費増税が確定したことに伴い、経過措置等
も含め26年4月1日以降の事務処理についての研究、
準備が欠かせないと考えます。
加えて上記税制改正、またこれから年末にかけて
検討される通常の税制改正、これらへの目配りも
必要です。特に消費税増税に影響を緩和すべく法人
に関連する減税項目が多くありますので、自社に
適用可能なものがないか十分注意して見ておく必要
があります。
ただ通常の税制改正大綱と同様、上記大綱を読んだ
だけでは適用要件等の詳細がわかりません。
今後財務省等から発表されるであろう各種情報には
要注意でしょう。





25/9/25 最高裁判決の影響

平成25年9月4日付最高裁判決を受け、国税庁
から相続税申告上の取扱いについての対応が
ネット上に発表されています。
それによりますと
①嫡出に関する規定のみを適用した相続分の
みを変更することによる更正の請求は不可。
②25年9月5日以降に、分割確定による更正の
請求、あるいは調査に基づく修正申告をする場
合は、嫡出に関する規定がないものとして相続
税計算をする。
③25年9月5日以後相続税申告をする場合は
嫡出に関する規定がないものとして相続税計算
をする。
ということになっています。
既に相続が発生しこれから申告をする方、あるい
は申告を済ませたが分割の確定や税務調査が
これからの方は上記に注意が必要です。





25/9/1 秋の税制改正!

法律通り2段階での消費税率アップを実行するか
否かを検討している最中ですが、従来にはなかった
秋の税制改正が検討されています。
これはまずは景気回復ということで、日本再興戦略
に明記された緊急経済プログラムに係る税制措置
について、年末の年度改正議論とは切り離して、
前 倒しで検討し、9月中にも税制改正大綱を決定する
というものです。 主たる検討項目としては
・生産性向上を促す設備投等投資促進税制
・企業のベンチャー投資促進税制
・事業再編促進税制
等が挙げられているようです。
全体的に製造業向けに偏っている感じがするとこ
ろが気になります。経済産業省からの要望が中心
のようなので、上記のような感じになってしまうので
しょうか。
加えて、予定通り26年4月1日から消費税率が8%
になることを前提に、従来から議論のあった簡素な
給付措置について上記改正と合わせて検討する模
様です。従来のスケジュールですと年末の年度改正
に対して 各省庁からの税制改正要望が出てくるような
時期で すが、今年に限っては消費税アップを予定通り
実施 するか否かの最終的な検討及び通例的ではない
秋 の税制改正という2つの大きな焦点に対して十分
注意 を払う必要がありそうです。





25/8/1 新国税通則法に基く税務調査

ついに私の事務所でも改正後新国税通則法に基づ
く税務調査が行われることとなりました
今月下旬の予定です
新通則法通りだと、まず納税者に連絡し、その後私
に連絡があり、日程調整の上税務署へ連絡し、その
後再度税務署から私に連絡がある、というような煩
雑なイメージを持っていました
なぜなら新通則法で事前通知が必要な項目として
・調査開始日時
・調査開始場所
・調査の目的
・調査対象税目
・調査対象期間

・調査を行う職員の氏名及び所属官署
等が列挙されているため、調整が必要な日程等を
どのように事前通知するのか疑問を持っていたか
らです
今般の実例ではどのような形がとられたかというと
まず事前通知ではない調査を打診する連絡が私宛
あり、日程等を会社と調整し回答、その後会社及び
私に新通則法に基づく事前通知があるという形でし

印象としては従来とあまり変わっていない感じです
が、対象年度が明確化され、調査に来る税務署員
の氏名が伝えられる等、従来に比して厳密になった
面があり、納税者には好ましいことだなと感じました
私自身各種書物やセミナー等で新しい税務調査手
続についてかなり勉強してきたつもりなので、今度
の実践で十分考えながら対応することにより、お客
様にとって納得いく結果となるよう努めたいと考えて
います





25/7/1 小規模住宅地特例の改正


平成25年度税制改正により、相続税の基礎
控除引下げ等のほか、小規模宅地特例の要
件緩和・柔軟化が、平成26年1月1日以降の
相続等から適用されます。
特に二世帯住宅の適用要件緩和について
実務家の間でも若干の議論を呼んでいます。
まず、改正政令では、一棟の建物が「区分
所有法1条の規定に該当する建物」である
場合は、被相続人居住部分のみが小規模
宅地特例の対象になることが明らかにされ
ていますが、ここには、区分登記された二世
帯住宅も含まれる模様です。
したがって、これから二世帯住宅を建築する
際には建物を共有登記にするという選択を
した方が無難と思われます。
またここで建物区分所有法1条が「・・・それ
ぞれ所有権の目的とすることができる。」と
できる規定になっていることから、二世帯住
宅が構造上区分所有することができる建物
であれば、区分所有登記がされているか否
かに関係なく、構造要件緩和の対象外にな
るのではないかという疑問があります。
この点につき、各種情報によれば、財務省は
区分所有登記がされているか否かで判断する
模様です。
この点、財務省から公表される予定の「税制
改正の解説」を確認する必要があると思われ
ます。





25/6/1 国税通則法の改正

改正国税通則法で法定化された新税務調査
手続が、今年1月から本格実施されています。
課税当局では、事務量増加に伴う調査件数の
減少を見込んでいるようです。
ある国税OBの話によると、国税の労働組合
のテストで事務処理量が4割増加するとの結
果で出たとのことです。
ということは、単純に考えると調査件数が従
前の7割に減少するということになります
。 確かに情報公開法により明らかになった資料
によると、「調査手続チェックシート」「争点整
理表」等従来なかった資料の作成が予定され、
また「準備調査」「事前通知」「実地調査」「問
題点等の提示・調査結果の説明」「修正申告
等の勧奨から決議処理まで」の各段階毎に
従来より詳細な手続が規定され、明らかに事
務処理量が増加していると思われます。
ですから逆に少ない税務調査の対象となった
場合は、従来以上に注意が必要かと思います。
納税者として特に注意すべき点は、事前通知
が納税者・顧問税理士両者に対して義務とな
り、納税者が了解した場合のみ詳細を顧問
税理士にだけ通知するという流れになった点
です。
したがって税務署から税務調査を実施したい
という電話があったら、税務調査の実施のみ
を了解し、それ以外の詳細は顧問税理士に
伝えて欲しい旨明確に意思表示することが
必須です。
細かな話を納税者自身が聞いてしまうと、税
務署のペースで話が進んでしまいかねません。
今後の税務調査に関しては是非上記にご注
意下さい。





25/5/1 消費税率と収入印紙

26年4月1日の消費税率アップに向けて様々
な準備が進んでいます
例えば資産譲渡に関する経過措置Q&Aが
国税庁から発表されたのもその一例でしょう
そんな中、消費税直接の話ではありませんが
印紙税の取扱い変更についても確認しておき
たいところです
25年度税制改正により、印紙税が課税される
領収書の金額が、26年4月1日以降作成分か
ら5万円以上(現行3万円以上)に引き上げと
なります
ここで注意が必要なのは領収書上における
消費税等の表示です
印紙税の課税標準である記載金額は原則
税込金額ですが、領収書上税額が区分記載
されている場合等は、税抜本体価格を記載
金額とすることが可能です
例として税率8%の場合、「領収金額53,460
円(税込)」の領収書には印紙が必要ですが
「領収金額53,460円(うち消費税3,960円)」の
領収書は印紙不要となります
特に影響が大きいと想定される小売店や飲
食店等は、領収書発行実務を点検しておくこ
とが必要ではないでしょうか





25/4/1 消費税率アップと事務負担


消費税率アップを1年後に控え、経過措置
の議論、更にはその先をにらんでの軽減
税率の議論が盛んになっています
3%から5%になった当時を思い返してみ
ますと、まず複数の税率が当面併存する
というだけで事業者にとって非常に事務
負担が重くなります
現在でも課税、非課税、不課税の処理に
ついて全く誤りがないとは言えない状況の
中で、意図的に複数の税率を作り出す
軽減税率は実務を担う立場からすれば
慎重に考えて欲しいところです
与党間の議論でも、軽減税率についての
事務負担、執行可能性等が問題となって
いるようです
いずれにしましても税率アップはほぼ既定
路線かと思いますので、事業者及びそれを
サポートする私たち税理士は十分な事前
検討の上、事務的な混乱を来さないよう
準備することが不可欠ではないでしょうか





25/3/1 25年度税制改正法案

25年度税制改正法案は今日閣議決定
されるようです。
法案を入手しましたが、600ページ近い
分量のため全てを理解するには至って
いません。
ただ大綱でははっきりしなかった内容が
少しずつ判明してきました。
例えばいわゆる「私募債封じ」ですが、
改正法の適用は28年1月1日以後発行
のものからとなり、27年12月31日までに
発行されていれば利払いが28年1月1日
以後であっても源泉分離課税が維持さ
れる模様です。
一方1,500万円教育資金贈与ですが、
この4月1日以後贈与分から適用とされ
ていますが、依然詳細はわからない状況
です。
全体的に適用関係が様々で、この4月1日
から適用のもの、27年1月1日以後、28年
1月1日以後等混在しています。
引き続き情報収集等に努め、正しい情報
をお客様に提供していく所存です。





25/2/1 与党税制改正大綱

去る1月24日、与党税制改正大綱が発表
されました。既に新聞紙上等でもその内容
が大きく取り上げられていますので、ある
程度中身をご存知の方も多いかと思います。
ただマスコミで目にする内容と、企業経営に
携わる方に影響の大きい項目は異なると
感じています。
例えば新聞紙上等ではほとんど目にしない
内容として、株式の譲渡所得を上場とそれ
以外の2種類に分けるというものがあります。
(施行日は大綱を読んでいるだけでははっき
りしません。)
この内容が実現すると、現経営者が後継者
に自社の株式を譲渡したその譲渡益と、バブル
崩壊により発生した上場株式の含み損を実現
させたものとを、相殺することができなくなり
ます。
細かな点は急ぎ研究し、また2月18日に主税
局長の話を聞く機会が予定されていますので、
3月にはもう少し詳細な内容を記載する予定
です。





25/1/1 25年度税制改正スケジュール

衆議院議員選挙は自民党大勝、民主党惨敗
という結果に終わりました。
これにより25年税制改正は、スケジュールだけ
ではなく、その内容も大きな影響を受けそうです。
新聞報道等ではやはり税制改正大綱が出るの
が1月下旬ということになりそうで、当面その行方
を注視する必要があります。
また、衆参ねじれの状況下、法案が年度内に成立
するか否か微妙かと思いますので、適用関係にも
要注意です。
内容としては24年改正で廃止された研究開発
税制特例の復活、設備廃棄に伴う繰戻還付等
が取り沙汰されています。
年明け早々から年度末にかけて気の抜けない
日々が続きそうです。





24/12/1 25年度税制改正の見通し

11月16日解散、12月16日選挙となったことで25
年税制改正スケジュールも大きな影響を受ける
ことは必至の情勢です。
29年前の昭和58年においても12月18日に衆議院
選挙が行われており、その際の税制改正日程は
例年に比し大幅に遅れ、昭和59年1月20日税制
改正大綱閣議決定、税制改正法案の国会提出は
2月中旬となりました。
上記を参考にすれば税制改正大綱の越年は当然
として、その内容も大幅な改正は難しい可能性が
高いと思われます。
そう考えますと、三党合意にあった
・所得税の累進性強化(最高税率引上げ)
・相続税の課税ベース及び税率構造等の見直し
(基礎控除引下げ、最高税率引上げ)
辺りが改正の中心になるのではないでしょうか。





24/11/1 25年度税制改正と消費税率アップ

25年改正に向けて政府税制調査会では
急ピッチでの議論が行われているようです。
10月中旬に財務省主税局で消費税を担当
する課長の話を聞く機会がありました。
事業者免税点制度の見直し、簡易課税制度
の見直し等多くのことを検討している模様
ですが、中心は以下の2点と思われます。
・転嫁対策、価格表示
・低所得者対策(逆進性緩和)
まず転嫁対策ですが、内閣府に「消費税価格
転嫁等総合相談センター」を設置し、各省庁に
「転嫁対策調査官」というポストを設け、公正
取引委員会とも連携し、円滑かつ適正な転嫁
を推進していく体制を取るようです。
次に低所得者対策ですが、財務省の本音とし
てはマイナンバー法案の成立を前提に給付付
き税額控除を採用し、複数税率は避けたいよう
です。
確かに課税実務としては軽減税率の線引きを
理論的に実施することは不可能なので、公平
の観点からも軽減税率の採用は難しいことは
否定できません。
ただ、仮にマイナンバー法案が成立してもその
実施には時間を要するため、一定の期間いわ
ゆる簡素な給付措置が実施されるかもしれま
せん。
いずれにしても25年改正の動向と消費税率
アップへ向けての具体的措置の議論とにつ
いては注視する必要があると思われます。





24/10/1 財務省の考える今後の税制改正

9月中旬に財務省主税局長の話を聞く機会が
ありました。
ある意味当然のことかもしれませんが、その
内容は増税の見通し及びその理論的根拠の
オンパレードでした。
高齢化の進展に伴う社会保障給付の大きな
伸び、国民負担率の低さ、世帯ベースで見る
と3割が所得税非課税であること等々です。
気になった点(主張、意見)としては
・給与所得控除の更なる削減を目指している
模様(職種ごとに変動する?)
・消費税10%になっても国、地方合算の基礎的
財政収支(PB)はマイナスの見通しである(→そ
の先どうやってPBをプラスにするのでしょうか?)
・消費税の複数税率は事業者が大変なため
採用したくなくて、マイナンバー法案を成立させ
給付付税額控除等を使いたいと考えている
・所得税率については最高税率の引き上げを
含め、全般的に課税強化をしたい
・相続税は従来から話の出ている基礎控除の
引下げを含め、税率、課税ベースとも課税強化
の方向である
・法人税については近隣諸国との関係から少なく
とも表面税率はまた引下げの方向である
このように今後大半の税目で財務省は明確に
課税強化を目指しています。
税制改正の動向を十分注視する必要があると
考えます。





24/9/1 改正消費税法 成立・公布

8月10日に参議院で可決成立した改正消費税法が
8月22日に公布されました。
経過措置の詳細等は現時点では不明です。
これによれば26年4月1日から国税6.3%+地方税
1.7%=8%へ、27年10月1日から国税7.8%+地方
税2.2%=10%へ、消費税率が引き上げになります。
民主党税制調査会ではいわゆる逆進性対策として
給付付税額控除と複数税率とが議論され始めて
います。
25年税制改正の行方と合わせ、消費税率引き上げ
の問題からも目を離せません。






24/8/1 税制改正要望ヒアリング

25年税制改正に向け、経済産業省等で税制改正
要望ヒアリングが始まりました。
消費税増税の道筋もはっきりしない中、25年改正
の行方を注視する必要があります。
今後具体的方向性が見えてきましたら、改めて
この場でお知らせします。





24/7/1 第一法規㈱の書籍2冊

例年同様分担執筆の加除式書籍「こんなときどう
する 会社の税務Q&A」「チェックリスト 税務調査
と会社経理」(ともに 第一法規㈱)の24年税制改正
へ対応する改訂作業が終了しました。
秋頃には当該部分が発刊される予定です。






24/6/1

今年もまた東京実務補習所で公認会計士
試験合格者の方々に講義をすることになりました。
法人税法(給与・交際費・寄付金・租税公課)を担当
します。